経営者は必見!?中小企業が生き残る為の資金調達術7選

事業を進めていくと必ずついて回るのが”キャッシュフロー”、”資金繰り”の問題です。現金は企業の血液とも言われます。もし現金が不足してしまった場合、人件費の支払いもできない、仕入もできない、結果販売もできないといった事態を引き起こしかねません。


資金調達できればいいのですが、そう簡単に話が進まないのが事業運営です。

この記事では、今まさにキャッシュにお困りの企業経営者、法人の財務担当者に向けて、資金調達方法についてご紹介します。代表的な銀行融資をはじめ、最近ではファクタリング、クラウドファンディングといった調達手法も見られます。しかし、困っているからといって、すぐにキャッシュが手に入る方法に流されてはいけません。主な手法7つについて、多様な視点からまとめています。置かれた状況によっても変わりますので、自社に最適な資金調達方法を見つけ出してください。

この記事でわかること

  • キャッシュ不足に陥る主な3つの要因
  • いざという時の資金調達方法7選
  • 資金調達方法ごとのメリットとデメリット
目次

どれぐらいのキャッシュがいつ必要なのか?、なぜキャッシュ不足に陥ったのか?を明らかにする

資金調達手法を検討する前にまず下記の2点について考えることが重要です。
「どれぐらいのキャッシュがいつ必要なのか?」
「なぜ自社がキャッシュ不足に陥ったのか」

なぜならキャッシュ不足に陥った要因や必要なキャッシュの規模、切迫度によっても資金調達の手法が変わってくるからです。また銀行融資を利用する場合にも自社の資金繰りの状況を抑えているかが問われるケースもあります。

資金繰り表でキャッシュを予測する

「どれぐらいのキャッシュがいつ必要なのか?」については、資金繰り表を作成し、当面のキャッシュの動きを想定することで見えてきます。

損益計算書の売上、利益と現金の動きは異なります。損益計算書ではなく、資金繰り表で管理することが重要です。実際倒産している企業の半数以上は黒字経営の企業です。予定資金繰り表を作成して、いつ、どれぐらいのキャッシュが必要なのかを明らかにしましょう。

キャッシュ不足に陥る要因

キャッシュ不足に陥る主な要因は以下の通りです。

①売上の急激な低下
②売掛金回収遅延・貸し倒れの発生
③在庫の増加
④キャッシュサイクル(現金の入りと出のタイミング)設定ミス
⑤企業成長期でキャッシュ先行となっている

内容によっては、取引先との条件変更で改善する場合もあれば、販売先の見直しなど、構造的な対応が必要な場合もあります。これらはキャッシュの流れをきっちりと押さえておくことで見えてくるものですので、是非とも資金繰り表の作成と合わせて実施してください。

メリット・デメリットを踏まえ、資金調達を行う!

次に代表的な以下の7つの資金調達方法について見ていきます。

7つの手法を資金調達のスピード(調達に要する期間)、難易度、メリット、デメリットを各項目5点満点で評価しています。

それぞれ一長一短があり、自社の状況に応じた資金調達方法を選択することが重要です。ただ、安心感や情報量なども含めると、銀行と有効な関係を作って融資を受けることが重要です。

得点が高いからと言って、その資金調達方法が自社において最適とは限りません。

それぞれの資金調達方法について解説していきます。

銀行融資

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一番オーソドックスな資金調達方法です。銀行や信用金庫、日本政策金融公庫等から融資により資金調達を行います。金利が比較的低く、融資限度額も大きいですが、審査等のため、調達までに時間がかかります。担保や審査によっては調達できないこともありますが、借り入れることができると、金融機関のネットワークを使った取引先の紹介なども受けることができます。また、信用金庫は地元密着で比較的借りやすい、政府系金融機関は比較的低金利であったりと、選択肢の幅が広いことも魅力です。

 銀行融資には、プロパー融資と制度融資の2種類あります。

 ・プロパー融資
信用保証協会の保証を受けずに、金融機関から直接融資を受ける方法。もし返済できないと全リスクを銀行が負うため、審査が厳しい。ただし、金利は比較的低い。

 ・制度融資
自治体などで運用している信用保証協会の保証を受けて実行される融資。信用保証協会がリスクを背負うので、比較的調達しやすいが、自治体等の認定に時間がかかったり、金利が比較的高くなる。創業間もない企業などでは、保証のないプロパー融資はハードルが高いと言えます。

政府の補助金・助成金

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企業の資金調達をサポートするために、国や自治体が補助金・助成金の給付事業を行っています。

補助金で代表的なのが、事業再構築補助金、ものづくり補助金などです。補助金の一番のメリットは返済義務がないことです。また事業計画などがしっかりしていれば受給することができるのも魅力です。ただし、募集時期が決まっているため、キャッシュが必要な時にタイムリーに手に入らないことや使途が限定されてくるといった短所があります。また、先にキャッシュアウト(投資等)を行ってから補助金が支払われるため、キャッシュフローを改善するという観点では使いにくいといった特徴があります。

助成金では、雇用調整助成金などがあり、補助金同様、返済義務がありません。雇用に関するものが多いため、主に厚生労働省が管轄しています。一定の基準を満たすと受給されるため、補助金と比較すると受給できる可能性が高いものになります。しかし、補助金同様、まず雇用が先行し、賃金等発生後に支給申請を行います。助成金が支給されるまで数か月から、長いものになると数年かかるものまであることから、短期のキャッシュフローの改善には使いにくいといった特徴があります。

ビジネスローン

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ビジネスローンとは、事業資金を調達することに限定された資金調達手法です。銀行系、ノンバンク系の企業がサービスを提供しており、大手企業が運営しているケースもあり、そういった場合は安心感もあります。系列による違いも若干あり、大まかにいうと銀行系は金利が低めで融資限度額が大きく、ノンバンク系は即日融資など、融資までの期間が短いことが挙げられます。

ビジネスローンの特徴は、銀行融資などと比較しても審査が早く、無担保、無保証人でも融資が可能なことです(一部例外あり)。また、総量規制(貸出は年収の3分の1以内に抑えるという規制)の対象外となっており、すでに借入がある場合でも必要な資金を借り入れることができます。また、融資までの期間が短く、銀行融資と比べても審査に通りやすいと言われております。ハードル自体は銀行よりも低いと言われていますが、一定の基準をクリアしていないと借入は厳しくなっています。

一方で、銀行融資等と比較して金利が高く、借入可能額も少なくなっています。そのため、長期で借り入れるには金利負担が大きく、一時的にキャッシュが必要な場合などに限定した方がいいでしょう。

ファクタリング

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ファクタリングとは、売掛金をファクタリング会社に買い取ってもらい、現金化する資金調達手法です。売掛先企業の信用が高い場合などは不履行のリスクが少ないことから高く買い取ってもらうことができます。

売掛金がないと資金調達できませんので、当然売掛金の枠が限度額となります。しかし、即日~数日程度で現金化が可能なところが多く、スピーディーにキャッシュを手にしたいニーズに合致します。

ファクタリング会社と2社間で契約を交わす方法があり、その場合は取引先にファクタリングを利用していることを知られずに資金調達することができます。

しかし、売掛金の債務不履行リスクをファクタリング会社は負うことになりますので、当然銀行融資等と比べると金利が高くなります。そして、結局は売上の先食いであることなどがデメリットになります。また利息制限法の適用外となるため、高額な手数料を取られてしまうようなケースもありますので、利用には十分な注意が必要です。

ベンチャーキャピタル

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ベンチャーキャピタルとは、将来的に高い成長が見込まれる会社や株式公開の可能性がある会社に投資を行う企業やファンドのことです。新しいアイデアがあっても資金がない企業などに資金を供給し、代わりにその会社の株式を取得します。ベンチャーキャピタルは出資先企業が株式公開した場合などに大きな利益を得ることができます。企業側も実績がなく、資金を集めにくいフェーズでも資金を調達できることや株式で支払うため、返済義務がないといったメリットがあります。

有望な企業になると、銀行融資なども行われますので、ベンチャーキャピタルが投資するのは、有望とわかる前の企業になります。そのためリスクの高い投資になり、出資することから、ベンチャーキャピタルが経営に携わるケースも多く見受けられます。経営についてのプロですので、うまくガイドされることもあれば、自由な意思決定の阻害要因になったり、時としてアドバイスが誤っているケースもあります。持ち株比率が大きく低下し、経営権を握られてしまうと、制約を受ける場合もあります。

クラウドファンディング

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クラウドファンディングは「社会問題を解決したい」「すごい商品を開発したい」といった実現したい目標、夢のプロジェクトを公開し、出資を募る仕組みとなります。インターネットなどでも専門のページがあり、そこに登録することで比較的簡易に始めることができます。また、多くの出資者に受け入れられると比較的早期にキャッシュを集めることも可能です。

クラウドファンディングの種類としては、実際に商品の売買に近い購入型や被災地支援など決まった返礼を求めない寄付型などありますが、資金調達という意味では、融資型クラウドファンディング、投資型クラウドファンディングが当てはまります。

融資型クラウドファンディング:融資の募集が行われ、匿名のファンドや運営会社が出資者と企業の間に入り、企業に融資をするクラウドファンディング。匿名のファンドや運営会社が事前に企業を審査していることもあり、元本保証されないが、比較的リスクは低い。

投資型クラウドファンディング:未上場企業などの場合に投資を募るクラウドファンディング。当然出資者側は倒産のリスクを負うことになる。企業側は返済義務のない資金を調達することができる。

クラウドファンディングは最近増えていますが、先に企業情報や商品情報を公開する必要もあり、アイデアが知られてしまうことや、クラウドファンディングに支払う手数料が高いといったデメリットがあります。

ビジネスクレジットカード

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個人でも使われている方が多いですが、クレジットカードの法人版がビジネスクレジットカードになります。個人のものと比較すると、以下の特徴があります。

・引き落とし口座がビジネス決済用の口座
・決済枠が大きい(個人の場合は数十万が多いが、ビジネスは数百万円から1千万円と大きい)

このビジネスクレジットカードをどのようにして資金調達に利用するのでしょうか。

ビジネスクレジットカードを用いて、仮に何らかの商品を仕入れたとします。その場合、商品は先に手元に来ますが、実際カード会社に支払うのは翌月以降となります。そのため、翌月の決済よりも先に商品を販売すると、手元のキャッシュを増やすことが可能となります。このように期間の利益を活用して、資金調達を行うのがビジネスクレジットカードのメリットになります。また、ポイントがたまることや、月に一度利用明細として情報をカード会社が取りまとめてくれるといったメリットもあります。

しかし、年会費等の支払いが発生することやあくまで一時的なキャッシュの獲得になる点には留意が必要です。また、信用情報によっては、審査に通らない可能性もあります。

まとめ

様々な資金調達方法の特徴やメリット、デメリットについて見てきました。金利が低い調達方法は審査が厳しく、時間がかかったり、逆にすぐに借りることができる方法は金利が高かったりと、どの資金調達手法にも一長一短がありました。整理すると下表のようになります。

【7つの資金調達方法比較】

合計得点はどの調達方法も似通っていますが、項目別でみるとそれぞれの特徴がわかるかと思います。自社の置かれた状況を踏まえ、最適な資金調達方法をご検討ください。

ただし、借り入れた場合の資金は必ず返済義務が発生し、あくまでも一時的なキャッシュの獲得にしかならないことを念頭に置いておく必要があります。また、返済の必要がなかったとしてもデメリットがありますので、注意が必要です。

今回ご紹介した資金調達を行うことだけでは、根本的な解決につながりません。やはり、資金不足に陥った原因をきっちりと分析し、根本的な問題を解決していくことが重要です。

この点につきましては、別記事等ご参照いただければと思います。

とはいうものの、一時的、短期的であれ、現金が必要な場合もあります。そういった場合はリスクを踏まえながら、今回ご紹介した資金調達方法をご参考にしていただき、うまく”血液”を循環させていただければと思います。

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この記事を書いた人

中小企業診断士・2級ファイナンシャルプランニング技能士。
平日昼間は民間企業に勤務。平日夜間、休日に中小企業診断士としてコンサルティング、執筆活動を行っている。

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