昨今、人手不足は益々、深刻となっています。そんな中で新たにつくられた補助金が中小企業省力化投資補助金です。
中小企業省力化投資補助金は、中小企業等の売上拡大や生産性向上を後押しするため、IoT・ロボット等の人手不足解消に効果がある汎用製品の導入を支援する補助金です。
今回は、省力化に活用できる「中小企業省力化投資補助金」について、中小企業診断士が解説します。
中小企業省力化投資補助金とは?
中小企業省力化投資補助金は、IoT・ロボット等の人手不足解消に効果がある汎用製品の導入を支援する補助金です。
付加価値額向上や生産性向上に効果的なIoTやロボットなどの汎用製品を「製品カタログ」から選択・導入することで、中小企業等の付加価値や生産性の向上、さらには賃上げにつなげることを目的としています。
中小企業省力化投資補助金の概要
中小企業省力化投資補助金の特徴は、補助対象となるIoTやロボットなどの製品が、中小企業省力化投資補助金のホームページに掲載されている「製品カタログ」に掲載された汎用製品に限定されていることです。
また、製品の購入先も同じく中小企業省力化投資補助金の事務局に登録されている販売事業者に限定されており、販売事業者と共同で取り組むことが要件となっています。
参考:中小企業省力化投資補助金
どのような事業が対象となるか?
中小企業省力化投資補助金は、「製品カタログ」に掲載された汎用製品のみが対象になっています。以下に「製品カタログ」掲載の製品カテゴリと対象業種、対象業務プロセスを紹介します。
製品カテゴリ | 対象業種 | 対象業務プロセス |
---|---|---|
清掃ロボット | 宿泊業、飲食サービス業 | 施設管理 |
配膳ロボット | 飲食サービス業、宿泊業 | 配膳・下膳 |
自動倉庫 | 製造業、倉庫業、卸売業、小売業 | 保管・在庫管理、入出庫 |
検品・仕分けシステム | 倉庫業、製造業、卸売業、小売業 | 資材調達、加工・生産、検査、 保管・在庫管理、入出庫 |
無人配送車(AGV・AMR) | 倉庫業、製造業、卸売業、小売業 | 資材調達、加工・生産、検査、 保管・在庫管理、入出庫 |
スチームコンベクションオーブン | 飲食サービス業、宿泊業、小売業 | 調理 |
券売機 | 飲食サービス業 | 注文受付 |
自動チェックイン機 | 宿泊業 | 受付案内、予約管理、 請求・支払、顧客対応 |
自動精算機 | 飲食サービス業、小売業 | 請求・支払 |
タブレット給油許可システム | 小売業 | 給油 |
オートラベラー | 倉庫業、製造業、卸売業、小売業 | 加工・生産、梱包・加工、 保管・在庫管理 |
飲料補充ロボット | 小売業 | 飲料補充業務 |
デジタル紙面色校正装置 | 印刷・同関連業 | 印刷 |
測量機 | 建設業、専門・技術サービス業 | 調査・測量、施工、検査 |
本記事執筆執筆は、2024年6月中旬であり、第1回公募(2024年6月25日受付開始、7月19日受付終了)以前となりますが、本補助金の情報が公表されてから、何度か製品カテゴリが更新されているため、今後も新たな製品カテゴリや汎用製品が更新せれる可能性もあります。
上記の製品カテゴリに導入検討の省力化製品がない場合でも最新の情報を確認することで、希望の製品が増えている可能性があるため、以下の中小企業省力化投資補助金ホームページ「製品カタログ」ページから最新の情報をご確認ください。
中小企業省力化投資補助金の申請枠と補助率・補助金額
中小企業省力化投資補助金はカタログに掲載された製品が補助対象となり、補助上限額は従業員数ごとに異なります。また、賃上げ要件を達成することで、()内の値に補助上限を引き上げられます。
補助対象 | 補助上限額 | 補助率 | |
---|---|---|---|
補助対象としてカタログに登録された製品等 | 従業員数5名以下 | 200万円(300万円) | 1/2以下 |
従業員数6〜20名 | 500万円(750万円) | ||
従業員数21名以上 | 1,000万円(1,500万円) |
詳細:中小企業省力化投資補助金
中小企業省力化投資補助金の基本要件
中小企業省力化投資補助金の補助対象者と基は以下の通りです。
補助対象者
- 中小企業者
- 小規模事業者
- 要件を満たす組合等
中小企業中小企業省力化投資補助金の基本要件
労働生産性の向上目標 | 補助事業終了後3年間で毎年、申請時と比較して労働生産性を年平均成長率(CAGR)3.0%以上向上させる事業計画を策定すること |
---|---|
賃上げの目標 (補助上限の引き上げ要件) | (a)事業場内最低賃金を45円以上増加させること (b)給与支給総額を6%以上増加させること (a)、(b)の双方を補助事業期間終了時点で達成する見込みの事業計画を策定した事業者は、補助上限額を引き上げる。 ※申請時に賃金引き上げ計画を従業員に表明していることが必要 ※自己の責によらない正当な理由なく、賃上げの目標を達成できなかったときは、補助額の減額を行う |
中小企業省力化投資補助金の申請手続き
中小企業省力化投資補助金は、中小企業省力化投資補助金事務局に登録された販売事業者と共に申請する補助金です。以下に中小企業省力化投資補助金の申請フローを紹介します。
申請前に、必ず公募要領を確認し、自社が申請条件を満たしているか等を確認しましょう。
申請には「GビズIDプライム」アカウントが必須となります。
それぞれ1週間程度かかる場合もあるため、事前に準備をしておきましょう。詳細は以下、サイトよりご確認ください。
中小企業省力化投資補助金ホームページの「製品カタログ」より省力化製品及び販売事業者を選定し、販売事業者の問い合わせ窓口に相談します。
導入する省力化製品を中小企業省力化投資補助金ホームページ上の「製品カタログ」より検索し、希望の省力化製品を取り扱っている事業者へ問い合わせをおこないます。
省力化製品によっては、複数の販売事業者が同一または類似の製品を取り扱っている場合もあります。その場合は複数の事業者へ問い合わせ、支援内容等を確認し条件の合うところへ申し込むとよいでしょう。
中小企業省力化投資補助金活用の成功率を上げる方法
中小企業省力化投資補助金は、販売事業者と共に申請します。計画書の作成も含んだ支援範囲は販売事業者によって異なるため、支援の範囲も含めて事前にしっかりと確認しておきましょう。
また、申請にあたり以下の点に気を付けることで、中小企業省力化投資補助金の成功率を上げることができるでしょう。
- 省力化製品に期待する効果を明確にする
- 複数の販売事業者から最も条件にあった事業者と契約する
省力化製品に期待する効果を明確にする
導入する省力化製品の選定も含め、製品導入目的と導入後に期待する効果を明確にしておくことで、真に必要な省力化製品の導入ができます。
事業計画を販売事業者と作成する際も、省力化製品に期待する効果が明確になっていることで、より具体的で採択されやすい事業計画書になるでしょう。
複数の販売事業者から最も条件にあった事業者と契約する
同一の機能を持つ省力化製品は複数の販売事業者が扱っている場合もあります。そのため、複数の販売事業者に問合せを行い最も条件に合った事業者と契約することをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
- 中小企業省力化投資補助金はどのくらいの補助が受けられるのですか?
-
補助金額は、事業規模によって異なります。補助率に関しては事業規模に関わらず1/2となっています。詳細は公募要領でご確認ください。
- 申請手続きは難しいですか?
-
申請手続きは煩雑に感じる方もいるかもしれませんが、省力化製品の販売事業者とともに申請を進めるため、不明な点などは販売事業者に問い合わせながら進めていくとよいでしょう。
- 採択されやすい事業の特徴を教えてください。
-
中小企業省力化投資補助金に限らず、補助金制度の目的に沿った事業が採択されやすいです。特に中小企業省力化投資補助金は対象となる省力化製品が決まっていることから、競争率が高くなる可能性も考えられます。
そのため、中小企業省力化投資補助金の目的をしっかりと確認し、目的に沿った計画とすることで採択される可能性は高くなるでしょう。
まとめ
中小企業省力化投資補助金は、省力化製品の導入により、人手不足の解消や売上向上、生産性向上を支援する補助金です。
省力化製品の導入は、人手不足の解消や、業務効率化、顧客の利便性向上等による売上向上など、様々な効果が期待できます。
導入できる製品が決まっているからこそ、その省力化製品の導入により、自社にどのような効果が期待できるかを考え、申請することで採択の可能性が高まり、採択後の取り組みにもより良い効果が期待できるでしょう。