マネジメントサイクルとは?基本概念から代表的な6種類のサイクルの特徴まで徹底解説

みなさんは「マネジメントサイクル」という言葉をご存知でしょうか?

IT技術の進歩や消費者の価値観の多様化など、変化が激しい現代社会で多くの企業が業務や組織経営にマネジメントサイクルを導入しています。

本記事ではこのマネジメントサイクルとはなにかをはじめ、マネジメントサイクルの種類と特徴、採用するにあたっての注意点、導入事例などについてお伝えいたします。

目次

マネジメントサイクルとは

「マネジメントサイクル」とは、企業・組織が目的達成に向けて、業務を効率的に進めるためのシステムです。

そんなマネジメントサイクルの代名詞ともいえるのが「PDCAサイクル」です。ご存知の方や聞いたことがあるという方も多いと思いますが、「目標達成に向け、計画を立て、実行し、改善する」というこの一連の流れこそがマネジメントサイクルです。この流れを継続して行うことで、目標に向けて前進していきます。

これは組織のパフォ-マンスを最大限に飛躍させるマネジメントの1つだと言えます。

マネジメントサイクルを取り入れる目的

マネジメントサイクルは企業の運用・成長において必要不可欠な存在だとされています。

その理由は自社製品やサービス・製品の価値、生産性の向上といったさまざまな効果を見込めるためです。

継続的にマネジメントサイクルが回り続けることで、目標達成の効率が上がり、さらにマネジメントサイクルが円滑に回ります。こうした一連の流れによってサービス・製品の改善や価値の向上を目指せます。

さらに、従業員のモチベーションアップにも繋がり、人材流出リスクの低下という福利も見込めます。
こうした経営的メリットが多いことから、マネジメントサイクルは重要視されています。

6種類のマネジメントサイクルの紹介と特徴

マネジメントサイクルには主に6つの種類があり、それぞれ異なった特徴を持っています。その6つの種類をそれぞれご紹介いたします。

1:PDCA

1つ目が「PDCAサイクル」で、6つの中でもっとも有名で一般的なマネジメントサイクルです。

  • Plan(計画):具体的な計画を立てる
  • Do(実行):計画を実行する
  • Check(評価):実行した結果を評価する
  • Action(改善):評価をもとに、次回策に向けた改善を行う

という4つの工程を1サイクルとするマネジメントサイクルです。最後のActionを次のPlanにつなげ、サイクルが1周するたびに計画のクオリティを上げ、最終的な目標達成を目指すのが目的です。

2:OODA

2つ目が「OODAループ」です。

  • Observe(観察):現状を客観的に観察する
  • Orient(方向づけ):観察結果をもとに方向づけを行う
  • Decide(意思決定):どのような行動をするのか意思決定する
  • Act(行動):意思決定した内容を行動に移す

という一連の流れで、PDCAと比較してOODAは「意思決定を目的としたループ」と言われています。

OODAの特徴は「計画」の段階がないことで、「目標達成のために現状を見つめ、最善の選択はなにかを決め、行動に移す」という流れです。

「観察」を重要視することから、現場において臨機応変な対応に用いることに向いています。

3:CAPD

3つ目が「CAPDサイクル」です。

  • Check(評価):現状を把握・評価する
  • Action(改善):現状の評価をもとに改善案を作る
  • Plan(計画):改善案をもとに計画を立てる
  • Do(実行):計画を実行する

の4つからなるマネジメントサイクルです。PDCAサイクルの順番を入れ替えたものになっていますが、PDCAサイクルと違って「最初に計画を立てるのではなく、現状の評価から開始する」ため、改善がスムーズに進みやすく、より導入しやすいのが特徴です。

そのため過去に経験のある業務などには適しています。

4:PDR

4つ目が「PDRサイクル」です。

  • Preparation(準備):なにをするか、その目的・理由を考え、準備する
  • Do(実行):目的に向かって実行する
  • Review(見直し):実行して得られた結果を見直し、分析する

という3つの工程からなるサイクルです。

「準備をしたら実行に移し、最後に評価する」という流れで仮説検証を行う方法です。PDCAに比べ1回のスパンが短く、トラブルや変化に迅速に対応できる特徴があります。

5:PDS

5つ目が「PDSサイクル」です。

  • Plan(計画):目標に向けて計画を立てる
  • Do(実行):計画を実行する
  • See(評価・見直し):実行結果を評価する

の3つの工程からなるサイクルです。PDCAのうち、CheckとActionがSeeに集約されており、より短期的な目標や小規模な業務・作業に適しています。

6:STPD

6つ目が「STPDサイクル」です。

  • See(現状把握):現状を把握する
  • Think(分析):現状を分析する
  • Plan(計画):分析をもとに計画する
  • Do(実行):計画を実行する

という4つの工程からなるサイクルです。PDCAと比較して「計画までに現状把握・分析の工程があること」が特徴です。

経営にかかわること・長期的なプロジェクトなど、より緻密な計画が必要な業務に適しています。

6種類のマネジメントサイクルのメリット・デメリット

上記のように6つの種類があるマネジメントサイクルですが、それぞれメリット・デメリットを持ち合わせています。そのメリット・デメリットと注意しなければならない点を以下にご紹介いたします。

1:PDCA

PDCAサイクルは短期間でサイクルを回していく特徴があるため、業務効率の改善に期待できます。ただ、下記の問題点が考えられます。

  • 計画が不安定・非現実的な内容だと、その後のサイクルが回りにくい
  • 4つの過程に集中しすぎると、チャンスを逃す可能性がある

そのため、対策として下記の事柄に注意し、取り組みましょう。

  • 目標だけでなく、現状も考慮し、そのギャップを埋める計画を立てる
  • 大きな目標を細分化し、小さな業務でPDCAを用いる

2:OODA

前述のように、PDCAと比較してOODAの目的は意思決定で、会社運営などに適しています。

そのため注意点としては、組織としての意思決定が行われるため経営陣や部署におけるトップの存在が必要なことです。

個人・チームリーダーでは決定が難しい場面もあるため、状況次第では経営層を巻き込み、取り組むことを心がけましょう。

3:CAPD

CAPDはPDCAと4つのステップと取り組む順番が違い、改善がスムーズに進みやすい特徴があります。

ただ注意点としては、開始当初に行う評価・分析の精度を高めることです。評価・分析の精度がその後の流れに影響するため、適切な評価・分析方法を検討し、実行することを心がけましょう。

4:PDR

PDRはPDCAと比べ、少ない過程でサイクルを回せるため、トラブルや変化に迅速に対応できる特徴があります。

しかし取り組みやすいことから問題点として、3つのステップが混同しやすいことが挙げられます。準備・実行を並行して行うことや、実行している最中に評価を行わないよう注意しましょう。

5:PDS

PDSの持つPDCAとの違いは、CheckとActionがSeeに集約されており、より短期的な目標や小規模な業務・作業に適していることです。

そのため問題点としては、PDCAと同じように計画内容が現実的で実現可能なものでなければサイクルが回りにくいことです。目標と現状を把握し、差を埋めるような計画を立てるよう努めましょう。

6:STPD

STPDはPDCAと比較して「計画までに現状把握・分析の工程があること」が特徴で、より緻密な計画が必要な業務に適しています。

ただ問題点としては、効果検証のプロセスがないことです。綿密に計画を練ることができる反面、計画自体に問題があったかどうかを検証したい場合、どこかで検証のプロセスを補う必要があります。

導入事例

ここまでマネジメントサイクルについてご紹介してきましたが、多くの企業がマネジメントサイクルを導入し、業務効率化に成功しています。その導入事例を以下に紹介いたします。

1:無印良品

株式会社良品計画は操業開始から順調に業績を伸ばしていました。しかし、2001年に競合他社の台頭等により30億円以上の巨額の赤字となりました。

窮地に立たされた良品計画、この時社長に就任した松井忠三氏が立て直しのためにPDCAサイクルを導入します。

そしてPDCAサイクルを用い、以下の施策を実施することで業績回復を果たしました。

  • 使用する紙の削減
  • 会議時間の短縮
  • 店舗運営マニュアルの作成
  • マニュアルを定期更新する仕組みの構築

今なお業界のトップを走り続けるかげにはマネジメントサイクルの導入があったのです。

2:トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車株式会社は、マネジメントサイクルを有効活用していることでも有名な会社です。

トヨタが使用するPDCAにはF(Follow・Feedback)という続きがあります。Fがあることによって、PDCAの精度が上がり、より高い成果を継続できるとされています。Fの具体的な取り組みとして下記が挙げられます。

  • PDCAを行う意味に関心を持ち続ける
  • PDCAについて常に議論する
  • PDCAの成果が出た時こそ、その先のことを意識する

これらによってPDCAサイクルを客観的な立場から振り返り、成果に向けて行動し、サイクルを回し続けることができます。

3:富士通株式会社

富士通では製品の品質改善運動としてPDCAサイクルを採用しています。

ただ富士通独自の取り組みとして、より明確に目標を意識するために、「Target(目標)」を加えた「T-PDCAサイクル」が導入されています。そして以下のような取り組みを行っています。

  • Plan(計画):「できる条件」を優先し、計画して「活動テーマ」として設定
  • Do(実行):「どうすれば前進できるか」を優先して実行し、完成度を高める
  • Check(評価):活動結果を「現場・現物・現実」の3現主義の観点で分析
  • Action(改善):課題を絞って次の活動テーマを設定

このように、成果を早く出して次の改善へと結びつける仕組みによって、富士通は様々な業務の品質を改善しています。

まとめ

ご紹介してきたように、マネジメントサイクルはPDCAサイクルをはじめに様々な種類があり、どれも業務を取り組むうえで必要不可欠なものです。

流行り廃りなど変化が激しい中では、常に最適なマネジメントサイクルを用いて、業務を効率よくこなすことは大切なことです。

ただ、どの方法でも長期的に考えることが大切です。今回ご紹介した内容を参考に、繰り返しマネジメントサイクルを行って、企業の業務改善・向上を進めてみてください。

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この記事を書いた人

三重県出身
大学を卒業後、広告関係の会社に所属。
HPやLPやネット広告、SEO記事を中心にライティングを経験。
現在、専業ライターとして活動。

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