成功事例から学ぶ、社内起業を成功させるポイント|目的から普通の起業との違いまで徹底解説

みなさんは「社内起業」をご存知でしょうか?

社内起業は、現在多くの企業が採用しており、新しいアイデアや技術を活かして、これまでには生まれなかった製品やサービスを生み出しています。

今回は、そんな社内起業の概要や普通の起業や子会社との違い、成功させるためのポイント、有名企業での導入事例などを解説していきます。

目次

社内起業とは

まず社内起業とは、既存事業にはない新たな事業モデルを創出するために企業内に設置される、独立した組織のことです。「社内ベンチャー」「企業内ベンチャー」などとも呼ばれています。

主な内容としては、企業が既存の事業とは別で新しい事業を生み出すために設立した組織のことを意味します。

社内起業の目的

こちらではそんな社内起業の大きな目的を3つ解説していきます。

  • 利益拡大
  • 人材育成
  • 資金活用としての投資

利益拡大

IT技術の目まぐるしい進歩や人々の価値観が日々変化し続けている現代。

企業はこれまで通り既存事業にのみ注力するだけでは利益を確保することが難しくなっています。最悪の場合、時代の変化に対応しきれず、事業が衰退することもあるでしょう。

そのため、社内起業を採用し、新規事業を立ち上げ、利益を拡大するという考えを持った企業が多く見られます。

人材育成

社内起業を通して新規事業を立ち上げることは、社員たちへ新たな活躍の場を与えることになります。

既存事業では活かせなかった技術やアイデアを活用してもらったり、経験できなかったことを身に付けてもらう良い機会になります。

また、社内起業を通して刺激や変化を与えることで、仕事に対する意欲向上やスキルアップにつながるでしょう。

資金活用としての投資

規模の大きい企業の場合、十分な資金はあるものの、その資金の有効な活用方法を見出せずにいることがあります。

こうした企業の場合、社内起業を通じて新規事業を立ち上げることが多く見られます。新規事業に対して投資することで、新たな資金の活用方法として有効的です。

加えて、もし新規事業が成功すれば、大きなリターンとしてさらに利益を確保し、企業の経済状況に潤いをもたらす可能性があります。

社内起業と起業、子会社化との違いは?

ここまで社内起業の概要について解説してきました。

しかし、読者の中では社内起業と普通の起業、子会社化の違いが分からない方もいらっしゃると思います。こちらではそれぞれの違いについて解説していきます。

社内起業と起業の違いは?

通常の企業の場合、資金や人材や設備などすべて自ら調達しないといけません。

しかし、社内起業の場合、すでに資金や人材など下地があるうえ、一企業としての経験やノウハウがあります。そのため、社内起業は通常の起業よりもリスクを抑えて新規事業に取り組むことができます。

また、母体となる企業に属しながら、まったく別の組織として動けるのでアイデアやノウハウを共有し合えるのも強みです。

このような点は、通常の起業にはない、社内起業ならではの特徴です。

社内起業と起業、子会社化との違いは?

社内起業と子会社は似ていますが、まったく同じではありません。

子会社には親会社という存在があります。子会社と親会社はそれぞれ別組織ではありますが、最終的な経営の意思決定は株主総会のような意思決定機関に握られます。

一方で社内起業は子会社ではないため、社員たち主導で事業を運営・組織することができます。

このように、互いに似ているものの、経営判断や意思決定といった決定権の部分では違いがあります。もし、スピード感を重視した展開を考えているのであれば、子会社よりも社内起業の方がマッチしているでしょう。

社内起業のメリット・デメリット

こちらでは社内起業のメリット・デメリットについて紹介いたします。

社内起業のメリット

社内起業には運営側・従業員側どちらにもメリットがあります。代表的なメリット4つを解説していきます。

新たな収入源が得られる

社内起業を通して、新規事業を創設するということは、収入源が増えるということです。

もし、新規事業が軌道に乗り、新たなアイデアやノウハウ、得意先を開拓することができれば、既存事業にも活かすこともできます。互いに相乗効果をもたらす期待ができるのは社内起業のメリットと考えられます。

母体となる企業の名前が使える

新規事業の場合、どれだけ優れたアイデアや技術であっても、認知度や知名度のなさから周りから懐疑的な目で見られることがあります。

しかし、母体となる企業の知名度が高かった場合、信用と知名度獲得のためのアプローチに多くの時間と資金を割かなくても良いというメリットがあります。

運営に必要なリソースを活用できる

一企業の運営において、資金や人材、ノウハウなどの用意は必要不可欠です。また、通常の起業の場合は自らの資金を企業の運営資金として運用しなければいけないケースがあります。

しかし、社内起業の場合、企業から資金の融資を受けることができる上、わざわざ従業員を雇ったりする必要がありません。また、万が一事業が失敗した場合でも、借金の返済や従業員の解雇をしなければいけないリスクも低いです。

社内の活性化が期待できる

社内起業が会社全体に浸透することで、既存事業では得られなかった経験やアイデアなどから、社員の仕事へのモチベーションやチャレンジ精神を生み出すことが期待されます。そうすることで会社全体がより大きく成長する可能性が高まります。

また、運営側が上手に取り組めば、活力ある人材が集まるようになり、ポジティブな企業文化もいっそう形成されやすくなるかもしれません。

社内起業のデメリット

数多くのメリットがある反面、デメリットも存在します。代表的なものを3つ解説いたします。

失敗するリスクがある

メリットのパートでご紹介したように、社内起業はリソースを活用できるメリットがあります。しかし、既存事業と新規事業の関連性が薄かったり、新規事業がすでにレッドオーシャンだった場合、失敗するリスクは高まると考えられています。

もし、新規事業が失敗に終わった場合、会社は損失を抱えます。その場合、今後新たに新規事業を立ち上げたくてもできない可能性があります。また、失敗することで企業全体のイメージ悪化の恐れもあります。

社内起業はメリットが多くある反面、慎重に行う必要があります。

軌道に乗るまで時間と資金がかかる可能性がある

社内起業として新規事業を立ち上げる場合、構成メンバーや企画・開発など準備に時間を要します。また、既存事業から社員を引き抜く場合、これまで担っていた業務の引継ぎや分担などの期間も必要です。

そして新規事業を成功させるにあたってどれだけの予算を割くべきなのか、損失はどれだけ生まれるのかも想定しなければなりません。こういったように、新規事業には多くの資金や時間がかかる可能性があります。

母体となる企業の意向に左右される

上記のように、社内起業は母体となる企業から創設される組織です。

企業の経営状況や意思決定権が上層部にあるなどの状況次第では身動きがとりづらいのはもちろん、撤退するというケースも大いにあり得ます。

社内起業の立ち上げ方・成功させるためのポイント

ここまでメリット・デメリットについて紹介してきました。

こちらではそれらを踏まえ、社内起業の立ち上げ方や成功させるためのポイントを解説します。

トップダウン型

トップダウン型は経営者自身もしくは事業開発などの部署が主導して社内起業を立ち上げるパターンです。

新規事業の内容はトップから提示され、構成するメンバーがその内容に沿って製品・サービスの開発・構築を行います。

経営者が立ち上げる段階で市場の現状やニーズをしっかりと把握しているか否かで成功する可能性は大きく変わります。

ボトムアップ型

ボトムアップ型は社員が自ら企画し、事業化に取り組むパターンです。

企画テーマの中から、収益化できそうなものや将来性が期待できるものを経営者側が選定し、事業化を目指します。

また、ボトムアップ型の場合、企画発起人が事業化への強い統率力や推進力を持つだけでなく、企業にとって未知の可能性を広げられるメリットが考えられます。

成功させるためのポイント

こちらでは社内起業を設立後、成功させるためには欠かせないポイントを3つ解説していきます。

介入しすぎない

社内起業の主な目的は、既存事業ではできないビジネスに取り組むことです。そのため、経営陣は社員の考えるアイデアを否定し過ぎないことが大切です。

また、立ち上げた新規事業が競合他社に勝つためには、柔軟で迅速な意思決定が必要です。そのため、経営陣の介入はできる限り抑え、意思決定や人員配置などの権限をチーム内の社員に任せることが大切だと考えられます。

ビジョンの共有・明示

社内起業を通して新規事業を立ち上げるうえで、さまざまな障壁に苦しむことが想定されます。自分たちで解決策を模索する中、大きな指針や軸となるのが「ビジョン」です。

ビジョンをチーム内で共有することは重要なポイントです。これにより、困難が立ちはだかった際もブレずにチーム一丸となって進むことができます。過去にもビジョンの共有によって成功を収めた事例もあります。

セーフティーネットを用意する

前述のように、経営陣が介入し過ぎないことも大切ですが、メンバーにすべてを丸投げするのも良くありません。

新規事業をサポートする人材を用意したり、仮に事業が失敗した場合の対応をあらかじめ想定しておくことで、新規事業のメンバーは安心してチャレンジできます。

活用事例

こちらでは社内起業の有名な事例を紹介します。社内起業の構想を練っている方は是非参考にしてみてください。

リクルート

多くの起業家を輩出しているリクルート社。実は同社には新規事業提案制度として「New RING」という制度があります。ウエディングに関する「ゼクシィ」や、グルメ・美容を扱う「ホットペッパー」など、今現在のリクルートの主軸となっている事業は社内起業から生まれました。

また、近年では社外審査員を迎え、より客観的な目線で企画・アイデアを審査し、新たなビジネスを生み出しています。

スープストックトーキョー

スープストックトーキョーは三菱商事から社内起業した「株式会社スマイルズ」が経営元です。1999年に1号店をオープンし、本格的なレストランや冷凍スープを扱う一方、「だし」をメインとした「おだし東京」を展開するなど、事業の幅を広げています。

2008年には三菱商事から独立を果たし、2016年2月には株式会社スープストックトーキョーとしてスープストック事業を分社化しました。また現在、経営元であった株式会社スマイルズは、ネクタイ事業やセレクトリサイクルショップ事業などを展開し、成功を収めています。

無印良品

1980年に無印良品は大手スーパーマーケット:西友の社内起業制度を通して起業され、西友のプライベートブランドとして誕生しました。

無印良品は「わけあって、安い。」というコンセプトのもと経営されました。バブル崩壊の安くて質の良いものを求めるニーズにマッチし、創設の翌年には独立、そして事業スタートからわずか5年で年商約150億円を達成。1995年には株式上場を果たし、今もなお、業界の最前線を走り続けます。

まとめ

今回は社内起業の概要や子会社化や起業との違い、導入事例などを紹介していきました。

社内起業は既存事業のリソースを活用しつつ、リスクを抑えて新たに利益を生み出すことができる素晴らしい方法です。

しかし、メリットがある反面、軌道に乗るには多くの時間や資金、ハードルがあります。失敗に終わらないためにも、市場調査や社内の状況などを踏まえ、構想を立てることが大切です。

社内起業を考えている方は、今回紹介したポイントを踏まえてぜひ取り組んでみてください。

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この記事を書いた人

三重県出身
大学を卒業後、広告関係の会社に所属。
HPやLPやネット広告、SEO記事を中心にライティングを経験。
現在、専業ライターとして活動。

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