中小企業のwebマーケティング、はじめの一歩!成功と失敗を分けるポイントを解説

もしも、経営者や上司から「来月から会社のwebマーケティングを担当してほしいので、準備しておいて」と言われたら、あなたはどうしますか?

 経営者や上司が「webマーケティング」のことを誰かに聞いて、思い付きであなたを指名したのかもしれません。逆に以前から問題意識を持っていて、あなたが適任であると考えて指示したのかもしれません。

 どちらにしても、あなたは「webマーケティングとは何か。さっぱりわからない」という気持ちになり、不安を感じていると思います。

この記事を最後まで読んでいただくことで、webマーケティングの概要を掴めるはずです。役立つ情報や知識を出来るだけわかりやすく提供します。

目次

webマーケティングとは何か

まず「マーケティング」の定義についてお話しします。

マーケティングの専門家は難しい言葉やキーワードを使って定義を作っています。それでもいいのですが、理解できないかもしれませんので、この記事では以下の定義を使うことにします。

「マーケティングの目標は、売り手の提供する財・サービスと、買い手の金銭の交換がスムーズに行われる仕組みづくりにより、市場を創造すること」

阿部誠. 図解大学4年間のマーケティングが10時間でざっと学べる. KADAKAWA, 2017, 6p

「売り手の提供する財・サービス」とは、あなたの会社で取り扱っている商品・サービスのことです。「買い手の金銭の交換がスムーズに行われる」について、解説する必要はないと思います。

 「仕組みづくり」は商品・サービスとお金をどこでどのように交換するかがキーポイントになります。

店舗販売の場合、店頭で商品を渡して、その対価としてお金・クレジットカード・電子マネー等で支払います。ネット通販であれば、お客さんがホームページにアクセスし、商品を選択してから最後にクレジットカード等で決済します。つまり、定義の前半部分を具体化することが「仕組みづくり」というわけです。

ネット通販は売り手の商品・サービスと買い手のお金の交換が、web上で完結します。つまり、定義文を「スムーズに行われる仕組みづくりにより」を「web上で完結する仕組みづくりにより」に変えれば、webマーケティングの定義になります。

ちなみに「市場を創造すること」ですが、例えばUberEatsというサービスが誕生して普及したことで、ネットを使ったケータリング市場を創造したことになります。

マーケティングの構成要素とwebマーケティングの領域

最初にマーケティングの構成要素について解説しておきます。

構成要素は、プロダクト(商品)・プライス(価格)・プロモーション(広告・販促等)・プレイス(流通経路)の4つです。それぞれの頭文字を取って「マーケティングの4P」と呼ばれることもあります。

プロダクト(商品)

商品には品質、ブランド、パッケージング、サイズや容量などの形態特性があり、さらに、保証、配達、設置、アフターサービスといった付随する機能も存在します。

アフターサービスは商品の購入に伴うもので、無料で対応するケースが多いです。ここでは保険商品のような有料サービスとは区別しておいてください。

プライス(価格)

価格は3つの観点から設定されます。1つ目はコスト志向による方法。商品原価に人件費や広告宣伝費を上乗せして決めるものです。

2つ目は競争志向による方法。競合他社の商品価格を参考にして自社商品の価格を決定します。最後は需要志向による方法。顧客が商品に価値を感じ、支払ってもよいと考えている価格を検討してから決定します。

プロモーション(広告・販促等)

プロモーションは広告・広報・販売促進・人的販売という4つのカテゴリーがあります。

広告はテレビCMから新聞広告、折り込みチラシまで多種多様なものが存在します。web特有の広告もありますが、これはあとで解説します。

 広報はパブリシティとも呼ばれています。わかりやすく言えば、自社の商品・サービスがテレビや新聞に取り上げられるために情報発信することです。広告よりも反響が大きくなって、販促効果が高い場合もあります。

 販売促進は季節、恒例行事、記念日について、期間を限定してセールやキャンペーンを行うことで売上アップを図ることです。

 人的販売はセールスマンや販売員が顧客と直接コミュニケーションを取り、情報提供やサービス活動を通じて商品・サービスを販売することです。

プレイス(流通経路)

流通経路はチャネルとも呼ばれ、製造業者から消費者まで、商品が流通するプロセスのことです。

例えば、家電メーカーが製造した商品の場合、卸売業者を経由して町の小売店の店頭に並び、来店した顧客が購入するのが一般的でした。ネット化が浸透した現在では、家電メーカーのネットショップに顧客がアクセスし、購入するという直接販売が増えています。

webマーケティングの主な内容

前節ではマーケティングの4Pのうち、プロモーションには広告・広報・販売促進・人的販売という4つのカテゴリーがあることをお伝えしました。

特にweb上で行う広告展開のことを、一般的にwebマーケティングと呼んでいます。 webマーケティングは広範囲になりますので、ここでは顧客の観点から「新規顧客の開拓」と「既存顧客の維持」という切り口で、webマーケティングの主な内容を説明します。

新規顧客の開拓

企業規模の大小、業種業態の違いに関係なく、新規顧客の開拓はマーケティングの主要テーマになります。

新規顧客を獲得しないと、会社の成長・発展を図ることができないからです。 コロナ禍以降、人との接触が制限されたことで、新規顧客の開拓にもwebマーケティングの方法を使う会社が増えてきました。多種多様な方法がありますが、主なものを解説します。

SEO対策

SEOとは「Search Engine Optimization」の略称で、「検索エンジン最適化」と訳されます。Googleなどの検索エンジンがWebサイトの内容を理解しやすいように最適化しますが、キーワード検索した際、自社のWebサイトが上位表示されるために行う一連の対策手法・技術のことです。

 例えば、段ボールを製造販売している会社であれば、「段ボール」「製造販売」というキーワードで上位表示されるために、Webサイトの外部と内部について対策を施します。

リスティング広告

GoogleやYahoo!で検索した際に、検索結果の上下に広告が掲載されます。

こうした広告のことをリスティング広告と呼びます。別名は検索連動型広告です。URLの前に「スポンサー」と表示されているので、すぐにわかると思います。費用対効果を検証するためにも、当初は小予算からスタートすることが無難です。

SNS広告

SNS媒体に配信する広告です。FacebookやLINEなどの画面上に自社広告を表示させて訴求します。リスティング広告に比べて、ターゲットの設定精度が高いので、希望する顧客層に広告を届けることが可能です。

ただし、ターゲットの設定を間違うと、自社の商品・サービスに興味がない層に広告配信されますので注意が必要です。

既存顧客の維持

自社の商品・サービスを購入してくれた顧客についてコミュニケーションを取らなければ、時間の経過と共に流出します。

既存顧客を維持するためには定期的なコミュニケーションが必要不可欠です。さらにリピート購入を促すためにも重要になります。

メール・SNS

商品特性や顧客特性(性別・年齢別・課題別)に応じて、メールやSNSを使い分けて、顧客にメッセージを確実に届けることが肝要です。

メールの場合、顧客数によっては自社で管理することが難しいことがあります。費用対効果を検討してメール配信サービスを活用することも必要です。

自社ブログ

メールやSNSによって顧客に新着メッセージを送り、自社で運営しているブログにアクセスしてもらうことが一般的です。

ブログ運営の目的は、顧客に有益情報を提供することで自社のファンになってもらうことです。広告宣伝をメインしたブログでは、やがてアクセスされなくなり、顧客流出してしまいます。有益情報が80~90%、広告宣伝が10~20%くらいが最適であると考えられます。

動画

メールやSNSを使って顧客に新着メッセージを送ることはブログのアプローチと同じですが、YouTube等に動画を公開して、定期的に有益情報を提供します。

ブログの文字情報だけではわからなかった内容が、動画では理解できるようになり、顧客の支持を集めることができます。テーマによっては1回で完結しない場合もありますので、シリーズ化してもよいでしょう。

webマーケティングの成功と失敗を分けるポイント

webマーケティングを成功させるには、以下の3つを意識しながら一歩ずつ取り組むべきです。目先の結果やデータだけに捉われるだけでは成功に届かず、失敗する可能性が高くなるからです。

顧客の悩みや不安を知ること

顧客は悩みや不安、もしくは不満を抱えています。webマーケティングの出発点は、顧客がどのような悩みや不安、そして不満があるのかを知ることです。この部分については徹底的に情報収集して、顧客の本音を明らかにしてください。

自社の商品・サービスを購入した理由を聞き出すこと

顧客が自社の商品・サービスを購入したのは何か理由があるはずです。どのような悩みや不安、不満が存在したのか。自社の商品・サービスを使うことによって、悩み・不安・不満が解消され、望む結果を得ることができたのか。そうした内容を詳しく聞いてみてください。

自社の商品・サービスを使用した感想を聞き出すこと

顧客に自社の商品・サービスを使用した感想を率直に聞いてください。

良いところだけでなく、良くないところも質問することが肝要です。さらに、他人に薦めることの有無について、「有り」の場合は、なぜお薦めするのかも聞き出してください。

上記の3つの情報を集めることは、webマーケティングに役立つだけでなく、広告内容の見直し、商品・サービスの改善にも貢献します。

まとめ

では、記事をまとめます。webマーケティングの定義は「マーケティングの目標は、売り手の提供する財・サービスと、買い手の金銭の交換がweb上で完結する仕組みづくりにより、市場を創造すること」となります。

 そして、webマーケティングの領域はマーケティングの4Pの中のプロモーション(広告・販促等)において、web上で行う広告展開のことになります。一般的にはweb広告のことをwebマーケティングと呼んでいます。

 また、webマーケティングの主な内容ですが、新規顧客の開拓の観点からはSEO対策、リスティング広告、SNS広告があげられます。

既存顧客の維持の観点からはメール・SNS、自社ブログ、動画があげられます。 最後に、webマーケティングの成功と失敗を分けるポイントを3つ。一つ目は顧客の悩みや不安、不満を知ること、二つ目は自社の商品・サービスを購入した理由を聞き出すこと、三つ目は自社の商品・サービスを使用した感想を聞き出すこと。

この3つの情報はwebマーケティングだけではなく、広告内容の見直し、商品・サービスの改善にも役立ちます。

少しでもこの記事が皆さまのお役に立てば幸いです。

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この記事を書いた人

中小企業診断士として1997年に登録。1999年に個人事務所を立ち上げて、現在も運営中です。コンサルタント歴は25年以上。中小企業のマーケティングに関するコンサルティングを行っています。また、国や自治体の中小企業支援機関でアドバイザーを長く務め、起業家育成にも貢献しました。

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