バーナード組織の3要素とは?組織づくりの本質と注意点を徹底解説

組織を上手く運営するための、重要な要素をまとめている「バーナード組織の3要素」は、組織論として広く浸透している考え方です。

バーナード組織の3要素は、多くの業界の企業・組織にも当てはめられる性質を持つため、内容を把握しておくことで組織に良い影響をもたらすことも可能でしょう。

そこでこの記事では、バーナード組織の3要素の概要や、要素ごとの導入手順などを解説いたします。

初めて概要を知る人はもちろん、バーナード組織の3要素を組織に反映できないお悩みを持っている方にも有益な情報を多くまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

バーナード組織の3要素とは?

「バーナード組織の3要素」とは、アメリカ人経済学者兼経営者であるチェスター・バーナード(Chester Irving Barnard)が提唱した組織論です。

以下の3要素を理解し、組織に反映させることで組織を上手く機能・存続できます。

  1. コミュニケーション
  2. 貢献意欲
  3. 共通目的

ここでは、各要素について詳しく解説いたしますので、バーナード組織の3要素を理解したい方は確認してみると良いでしょう。

1.コミュニケーション

「コミュニケーション」とは、組織内のメンバーで情報を伝達し共有することで、意思疎通をすることを指します。

コミュニケーションが行われないとトラブルが生じた際に情報伝達がなされず、始めは小さなトラブルでも、大きなトラブルに繋がってしまうこともあるでしょう。

「バーナード組織の3要素」では、コミュニケーションが行われない組織は衰退するとされています。

2.貢献意欲

「貢献意欲」とは、組織内のメンバーが「組織の役に立ちたい」「組織のメンバーと一緒に働きたい」と考えることを指します。

貢献意欲はモチベーションと呼ぶこともあります。

貢献意欲が低いと、自己の利益のためだけに組織を利用する人が多くなってしまい、仮に外面的には成り立っているようにみえても、システムや業務体制が破綻してしまう事態に陥ってしまうでしょう。

貢献意欲を高く維持することは、組織を長く運営する上で必要不可欠です。

3.共通目的

「共通目的」とは、組織内の経営陣・メンバーで共通して持つ、組織のゴール地点や理想図のことを指します。

共通目的がないと、業務や事業をやっている意味が見いだせず、業務の進捗が鈍化し、生産性の低下を招いてしまいます。

また、他業務を展開している場合は足並みを揃えることが難しくなってしまい、最終的に内部分裂を引き起こしてしまうことも考えられるでしょう。

事業を拡大すればするほど、共通目的の役割は重要になっていく傾向が強いです。

バーナード組織の3要素が組織運営にもたらす影響とは?

ここでは、「バーナード組織の3要素が組織運営にもたらす影響」について解説していきます。

バーナード組織の3要素の概要を学んでも、組織にどのように作用するか具体的に理解することは難しいでしょう。

以下の解説では、3要素が充実している場合に得られる恩恵についても触れていますので、組織にバーナード組織の3要素を活用しようか悩んでいる人は、参考にして取り組む順番に優先度を付けてみてはいかがでしょうか。

コミュニケーションがもたらす影響

コミュニケーションが上手く構築されていると、トラブルの早期発見をしやすくなり、迅速な対応が可能になるでしょう。

また、従業員の働きやすい環境にも大きく貢献できるため、業務を効率的に進められるだけでなく、早期離職者を減らせます。

コミュニケーションを活性化させるためには、組織はメンバー同士、および他部門の壁を超えたコミュニケーションの活性化に尽力する必要があります。

貢献意欲がもたらす影響

貢献意欲が高いと、業務の効率化につながるだけでなく、メンバー同士が良い刺激を受けるため、メンバーの成長速度も速くなるでしょう。

メンバーの成長が速いとそれだけビジネスチャンスが多くなり、組織の事業領域を拡大しやすくなります。

貢献意欲を高く保つためには、昇進や昇給といった外発的動機づけだけでなく、従業員同士がサポートし合う関係性を構築することが重要です。

共通目的がもたらす影響

共通目的をしっかりと定めておくと、メンバー同士で進捗を確認し合い、足並みを揃えて目的達成に向けて協力することが可能です。

さらに、経営陣と同様の共通目的を持つことで、組織全体で協調性を生み出せます。共通目的を充実させるためには、以下の2つの側面を意識して設定するように心がけましょう。

協働的側面:企業理念や情報を共有することで、その達成に向けてメンバーが協働していくこと

主観的側面:個人的な目的のことを指し、家族のため、社会のため、といった各個人が抱えている目的のこと

バーナード組織の3要素を導入するには?

ここでは、バーナード組織の3要素の導入手順を、それぞれの要素に分けて紹介します。

3ステップで解説していますので、大まかな導入手順を確認したい方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。

コミュニケーションの導入手順

コミュニケーションの施策を導入するには、誰もがためらわず発言できる雰囲気を整える必要があります。

以下の3ステップを取り入れる際には、特定のグループのみならず、異なる階級や部署のメンバーとの交流も視野に入れて、組織全体でコミュニケーションを取りやすい体制を作ることをおすすめします。

STEP
コミュニケーションの必要性を共有する

組織内のメンバーに、コミュニケーションを充実させることでもたらすメリットを提示し、業務における利点を示すことで、必要性を共有します。

必要性の共有が不足していると、コミュニケーションをするためのツールを導入しても、使ってもらえない可能性が高くなってしまいます。

STEP
コミュニケーションツールや環境を整備する

適切なコミュニケーションツールを選定し、メンバーが情報を効果的に共有できるようにします。

また、ツールに頼るだけでなく、メンター制度の導入や社内イベントの開催など、社内のコミュニケーションを取る方法に多様性を持たせてみると良いでしょう。

STEP
コミュニケーションを積極的に行った人を評価する

積極的にコミュニケーションを行ったメンバーを、評価・感謝することは、組織内部の情報共有を活発にする上で有効的です。

貢献度を判断できるように、使用時間やコミュニケーションを取った人数など、判断するための具体的な数値を定めておくと良いでしょう。

貢献意欲の導入手順

貢献意欲の施策を導入するには、個人を尊重する姿勢が重要になります。

以下の3ステップを取り入れる際には、メンバーは組織の歯車ではなく、大切な仲間であることを意識して、メンバーに接するように心がけましょう。

STEP
人事評価制度を見直す

仕事の貢献度や個人の能力が適正に評価されることは、貢献意欲に維持に繋がるので、人事評価制度を見直し、改善することは有効です。

不公平感なく社員の貢献度を評価し報酬を与えられる、人事評価制度を組み立てると良いでしょう。

STEP
柔軟な働き方の導入を検討する

育児休暇制度や時短制度の導入、社内有給取得率の是正、フレックスタイム制度の導入など、社員のライフスタイルに合わせた、柔軟な働き方の導入を検討してみることをおすすめします。

柔軟な働き方を実現させることで、組織に対する信頼度が高まり、貢献意欲を維持できるでしょう。

STEP
キャリア開発支援を導入する

一般的な目標だけでは、メンバーのモチベーションや努力に欠けることがあるため、個人の能力にあったキャリア開発支援で、継続的にサポートすると良いでしょう。

キャリア開発支援を通じて、貢献意欲を維持できるだけでなく、業務の効率化も狙えます。

共通目的の導入手順

共通目的の施策を導入するには、共通目的を上手く設定し組織に反映させることが重要です。

以下の3ステップを取り入れる際には、進捗状況の確認のしやすさにも気を配って、目的を設定すると良いでしょう。

STEP
具体的な組織目標を設定する

組織で共有した目的を達成するには、具体的な組織目標を設定することが重要です。

具体的な数値を定めることで、進捗状況が確認しやすくなります。

STEP
組織目標と個人目標を連携させる

メンバーの個人目標に組織目標を反映させることで、組織の方向性を見失うことなく業務を遂行できます。

組織目標の意味を理解することにも繋がるため、組織の目指す理想像をより強固にできる効果も期待できるでしょう。

STEP
適時フィードバックを行い、目標を修正する

適宜メンバーからのフィードバックを収集し、共通目的を調整することで、柔軟に目標を達成できます。

タイミングや期限を事前に定めて、定期的にフィードバックするように心がけましょう。

【企業の組織運営から分析】バーナード組織の3要素を成功させる秘訣とは

ここでは、実在する企業の組織運営から、バーナード組織の3要素を成功させる秘訣を分析します。

バーナード組織の3要素を上手く活用する上で、実践例を参考にすることは非常に有効です。

自社のリソースや業務特性を加味して、他の企業の実践例で取り入れられる部分がないか、考えてみると良いでしょう。

無印良品

株式会社良品計画は、国内・海外合わせて1,251店舗展開している大手企業です。

「無印良品」を中心とした専門店事業の運営、商品企画、開発、製造、卸しおよび販売を事業として展開しており、食品から家具まで幅広いジャンルの商品を販売しています。

事業展開だけでなく、未利用資源の活用や社会への支援にも積極的に取り組んでおり、社会貢献度が高い企業としても知られています。

無印良品のコミュニケーション

無印良品では、年2回、自身のキャリアプランについて上司と話し合い、人事に申告する「自己申告制度」や、1on1ミーティング・定期的な面談を通して、社内に社員の意見がきちんと反映されるような環境が整っています。

無印良品の貢献意欲

貢献意欲の取り組みとして、産業医・アドバンテッジ相談センターによるメンタルヘルス・健康相談窓口を設置しています。

労働時間や休憩時間、休暇に関する国際基準と現地法令を遵守し、残業を前提としない働き方を推進しており、各部門の管理職者が従業員の労働時間を毎月管理し、休日取得の事前計画と取得実績を確認しているなど、ライフワークバランスの施策を通して貢献意欲の維持に勤めています。

無印良品の共通目的

共通目的の取り組みとして、創業以来変わらないESGの考え方を重要視しています。

EGSとはEnviromemt(環境)、Sociai(社会)、Governance(企業統治)の略称であり、

「環境」「社会」「企業統治」の観念から企業を分析して、事業を展開することです。

無印良品ではESG経営の姿を実現するため、「商品」「事業活動」「土着化活動」それぞれにおいてESGを捉え直し、推進することで、新しい価値を創造し、社会に貢献していきます。

【まとめ】バーナード組織の3要素を活用して、強い組織体制を目指そう

この記事では、バーナード組織の3要素の概要や導入ステップ、実践例について紹介しました。

バーナード組織の3要素は、組織をマネジメントする際に活用できる組織論です。組織を長く存続し、拡大するには組織論の観点からも組織体制を考えなくてはなりません。

この記事をきっかけに、バーナード組織の3要素を活用して、組織を見直してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

現在フリーランスでリスティング広告運用・イラスト依頼・ライティング業務を受けながら活動をしております。
ライフスタイル、グルメ、ビジネス、転職関連の記事を中心に執筆活動をしています。

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