「戦略と戦術」正しく説明できますか?両者の違いを具体例とともにわかりやすく解説!

新たなビジネス領域を拡大したり、事業を改善するためには、マーケティング戦略とマーケティング戦術が必要です。

しかし、マーケティング戦略・戦術の違いや定義を理解していないと、適切な戦略や効果的な戦術を定めることが難しいと言えるでしょう。

そこでこの記事では、戦略・戦術の定義から他企業の実践例まで、マーケティング戦略・戦術を幅広く理解できる情報を解説いたします。

マーケティング戦略・戦術を活用しようと考えている企業経営者、マネージャー、チームリーダー、起業家の方に有益な情報をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

戦略の定義とは?

「戦略」とは、目標を達成するための全体的な計画や方針のことを指します。

戦略を活用することで、リソースの最適な配分や行動の優先順位を決め、長期的な成功を実現できます。

戦略を効果的に発揮するには各行動の具体的な方法や手段を定め、組織や個人が効率的かつ効果的に目的に到達することが重要です。

また、ビジネスで活用する戦略は、「マーケティング戦略」と称されることが多いです。

マーケティング戦略を立てる手順

マーケティング戦略を立てる手順は以下の通りです。

STEP
経営環境や市場を分析する

経営環境や市場、事業内容などを分析して、自社の課題や自社の強みが活かせるビジネス領域を把握します。

分析する際にはSWOT分析(強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)という4つの観点からビジネスの戦略を分析すること)や、VRIO分析(VRIO分析とは価値(Value)、希少性(Rarity)、模倣困難性(Imitability)、組織(Organization)という4つの観点から自社の経営資源が持つ競争優位性を分析すること)を活用すると良いでしょう。

STEP
目標や目的を定める

分析した結果を元に、マーケティング戦略のゴール地点である目標や目的を定めます。目標や目的を定める際には、具体的な数値を活用することがおすすめです。

STEP
基本方針を定める

基本方針とは、経営理念やコンセプトに基づいて、自社のスタンスを明確にすることを指します。戦略の期間は長期的になることが多いため、基本方針を定め、行動に一貫性を持たせることが重要です。

STEP
戦術を定める

基本方針に沿った行動内容を具体的に定めます。なお、戦術を定める際にはトラブルの対策(コンティンジェンシープラン)も考えておくと、臨機応変に対応できるでしょう。

戦術の定義とは?

「戦術」とは、特定の目標を達成するための具体的な方法や手段のことを指します。戦略に基づいて実行され、短期的な行動計画として機能します。

効果的な戦術は、全体の戦略を成功に導くための重要な要素です。

また、ビジネスで実施する戦術は、「マーケティング戦術」と称されることが多いです。

マーケティング戦術を立てる手順

マーケティング戦術を立てる手順は以下の通りです。

STEP
戦略を達成するための手段を定める

効果的な戦術を定めるためには、戦略や基本方針に沿った作戦を複数立てることが必要です。なお、複数作戦を立てる際には、なるべく異なるジャンルから作戦を考えてみると良いでしょう。

STEP
短期目標を定める

実施する作戦を決めたら、1ヶ月から1年を目安に目標を定めます。短期目標を定める際には、必ず達成数値を合わせて決めるようにしましょう。なお、達成数値には具体的な数値を用いることをおすすめします。

STEP
具体的な行動内容を決める

短期的な目標を達成するために、具体的な行動内容を定めます。行動内容を定める際には、KPI(重要業績評価指標)を活用してみると良いでしょう。また、行動するための費用コストを意識することも必要です。

STEP
締切期限を定める

戦術を実行する期間を定めます。締切期限を定めることで、PDCAサイクルを繰り返し回せます。また、期限までに達成数値を満たすことが難しい場合には、期間の途中で戦術を見直すことも大切です。

戦略と戦術の違いとは?

マーケティング上で戦略は「方向性」を意味し、戦術は「具体的な行動計画」を意味するため、それぞれの言葉の意味は大きく異なります。

「戦略」はマクロな視野で考える必要があるため、具体的な手段を講じるよりも、理想的な企業像・事業像を目指すための大まかなシナリオを決める意味合いが強いです。

一方、「戦術」は戦略を実現するため、ミクロな視野で考えることが多く、具体的な行動内容を選定しないと効果を発揮することが難しいです。

また、戦略と戦術は期限の観点でも大きく異なります。

一般的に戦略は、1〜5年程の期限を定めないと達成することが難しいです。

一方で、戦術の期限は1ヶ月〜1年と短いサイクルであることが多く、PDCAサイクルを多く回すことで効果が得られる性質を持っていると言えるでしょう。

戦略がないと戦術はどうなる?

マーケティングで戦略を立てずに戦術を実行してしまうと、戦術の効果を発揮できない結果を招いてしまうでしょう。

戦術はミクロな視点で行動内容を定めるので、事業全体に影響をもたらすような効果を生み出すことは難しいです。

効果のない戦術を実行してしまうと、無駄にコストや労力が発生するので、デメリットを被ることも考えられます。

戦術がないと戦略はどうなる?

マーケティングで戦術を考慮せずに、戦略を立ててしまうと、戦略が実行されない可能性が高いでしょう。

戦略はマクロな視点で目標を達成するシナリオを決めるので、具体的な行動内容を決めることは難しいです。

具体的な行動内容を定めていないと、効果を得ることはできないので、組み立てた戦略が無駄になってしまうでしょう。

戦略・戦術に分けて分析!実践例を大解説

ここでは、他企業が実施しているマーケティング施策を、戦略・戦術の観点に分けて解説いたします。

効果的なマーケティング戦略・戦術を考える上で、他企業の実践しているマーケティング戦略・戦術を知ることは非常に重要です。

他企業のマーケティング戦略・戦術を理解することで、自社のマーケティング戦略・戦術にメリットを落とし込むことも可能です。

さらに、同じ業界の企業のマーケティング戦略・戦術を把握できれば、同じようなマーケティング戦略・戦術を実行して、顧客の取り合いになってしまうリスクも軽減できます。

初めてマーケティング戦略・戦術を取り入れようとしている方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。

岩下食品株式会社

岩下食品株式会社は食品の製造・販売・開発を事業として行っている企業です。代表商品に1987年からロングセラーを記録している「岩下の新生姜」があります。

他にもラッキョウやオリーブなど、漬物業界の老舗企業として大きな影響力を有しています。

岩下食品株式会社の戦略

岩下食品は漬物の需要や売り上げを分析し、「市販の漬物は塩分が多く美味しくない」というネガティブなイメージや洋食化が進んでいることが原因で、需要が減少傾向にあることを課題として取り上げました。

そこで、岩下食品は漬物の新たな需要を発掘するために、「漬物を料理の素材として使用する人を、新たな顧客層として引き込む」という戦略を立てました。

漬物そのものの消費のみに目を当てるのではなく、料理の素材として使用できることを強調することで、新たな漬物の需要を生み出せるのではないかと考えたのです。

岩下食品株式会社の戦術

岩下食品は「岩下の新生姜」は、さまざまな料理の素材として使用されていることに注目します。そこで、Twitter(現在のX)を活用して新生姜を使用したさまざまなレシピを募集しました。

Twitter(現在のX)では多くのレシピが投稿され話題となり、CMを減らしても「岩下の新生姜」の売り上げを伸ばすことに成功しました。

さらに、レシピ本「We Love 岩下の新生姜 ツイッターから生まれたFANBOOK」も出版し、さらなる新たな顧客層へのアピールに繋がっています。

ユニクロ

株式会社ユニクロは、衣服の製造・販売・開発を事業として行っている企業です。世界的なアパレルブランドであり、誰でも着やすいシンプルかつ機能的な衣服を販売しています。

グローバル規模なビジネス領域を展開しているなど、日本でも有数の大手企業です。

ユニクロの戦略

ユニクロは「コストリーダーシップ戦略」を世界各国で展開しています。

コストリーダーシップ戦略とは、コストを抑えて安い価格でサービスを提供することを指します。

安い価格で高品質なサービスを届けることで、他社との差別点を明確にし、アパレル業界で優位に商品展開をしようと考えたのです。

ユニクロの戦術

コストリーダーシップ戦略を実現するために、ユニクロはSPA(specialty store retailer of private label apparel)という戦術を実行しました。

SPAとは、製品の企画や生産はもちろん、物流、販売まで全て自社で実行することを指します。SPAを世界規模で展開したことで、商流全体のコストを抑えることに成功しました。

その結果、他のアパレル企業よりも安い価格で良い衣服を提供することを可能にし、アパレル業界でも唯一無二の立ち位置を獲得できました。

任天堂

任天堂株式会社は、家庭用レジャー機器の製造・販売を事業として行っている企業です。

任天堂スイッチやニンテンドーDSなど、ゲーム業界でトップクラスの影響力を持つ企業であり、世界中にファンがいることで知られています。

任天堂の戦略

任天堂の戦略は「ブルー・オーシャン戦略」を採用しています。

ブルー・オーシャン戦略とは、競争者が少ない新規市場を開拓し、高価値なサービスを提供することで、顧客層の拡大を狙うことを指します。

任天堂はあえてゲームをやらない層に向けたゲーム機を開発することで、他企業と差別化を図ろうと考えたのです。

任天堂の戦術

任天堂は「ブルー・オーシャン戦略」を成功させるために、ゲームに高機能さや映像美を追求するのではなく、低価格と新たな遊びを追及していきました。

その結果、体を動かして遊ぶ「Wii」やポータブル機と据え置き機を組み合わせた「ニンテンドーswitch」を開発し、世界的セールスを記録しました。

任天堂は、他企業との取り合いが発生しない顧客層の心を掴んだことで、競争の激しいゲーム業界でも有数の大手企業に成長しています。

【まとめ】正しい手順で戦略と戦略を活用することが、ビジネスの成功に繋がる

この記事では、ビジネスにおける戦略・戦術の基本的な情報や、実践例を紹介しました。

ビジネスを成功させるためには、適切な戦略と効果的な戦術が必要不可欠です。

正しい手順で市場を分析、作戦を組み立てることで、ビジネスを好転させるマーケティング戦略・戦術を考えられるでしょう。

この記事の情報を参考にして、マーケティング戦略・戦術を組み立ててみてはいかがでしょうか。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

現在フリーランスでリスティング広告運用・イラスト依頼・ライティング業務を受けながら活動をしております。
ライフスタイル、グルメ、ビジネス、転職関連の記事を中心に執筆活動をしています。

目次