今回は、ウェブサイトやデジタル広告の成功を測る上で重要な指標であるCVR(コンバージョン率)を劇的に向上させるための具体的な戦略を10個ご紹介します。
CVRの向上はビジネスの成果を大きく左右する要因であり、以下の具体策を実践することで効果を実感できるでしょう。
CVR(コンバージョン率)とは
CVR(コンバージョン率)はマーケティングやデジタル広告において重要な指標であり、特定のアクション(コンバージョン)がどれだけの割合で達成されたかを示します。
具体的には、ウェブサイトやランディングページへの訪問者が望ましい行動(購入、登録、申し込みなど)を行った割合を示します。
CVRは以下の式で計算されます。
CVR=コンバージョン数/訪問数×100%
例えば、あるウェブサイトが1週間で1,000人の訪問者を獲得し、そのうち100人が商品購入を行った場合、CVRは次のように計算されます。
CVR=100/1,000×100%=10%
この場合、CVRは10%となります。つまり、訪問者のうち10%が商品購入などのコンバージョンを達成しています。
CVRの重要性
CVR(コンバージョン率)はマーケティングにおいて非常に重要な指標です。具体的には以下4つのポイントにおいて重要となります。
効果的な成果指標
CVRはウェブサイトやランディングページの効果を定量的に評価するための重要な成果指標です。訪問者がどれだけアクションに移行してくれるかを示すため、マーケティング施策の成功度合いを把握する上で欠かせません。
収益性の向上
高いCVRは収益性の向上につながります。訪問者がコンバージョンを達成する確率が高ければ、同じトラフィック量でより多くの成果を上げることができます。
マーケティング戦略の改善
CVRの分析を通じて、ユーザーの行動やニーズを理解し、マーケティング戦略の改善につなげることができます。コンバージョン率が低い部分を特定し、最適化の余地を見つけることが重要です。
広告効果の評価
デジタル広告の効果を評価する際にもCVRは重要な指標です。広告のクリック数だけでなく、その後のコンバージョン率を把握することで、広告の効果を客観的に評価できます。
CVRを上げるメリット
CVR(コンバージョン率)を上げることには、マーケティングやビジネスに多くのメリットがあります。以下にCVRを向上させることのメリットを詳しく説明します。
収益の増加
CVRが上がれば、同じトラフィック量や広告費用の下でより多くのコンバージョンを得ることができます。つまり、収益が増加する可能性があります。
広告効果の最大化
デジタル広告のクリックからコンバージョンへの流れがスムーズになり、広告の効果を最大化できます。広告費用対効果(ROAS)が向上します。
顧客獲得の効率化
CVRが高ければ、同じ数の訪問者からより多くの顧客を獲得できます。マーケティング施策の効率が向上します。
顧客満足度の向上
CVRが高いということは、顧客がサイトやサービスに満足している証拠です。顧客満足度の向上にもつながります。
マーケティング施策の最適化
CVRの分析を通じて、どの要素が効果的でどの要素が改善の余地があるかを把握し、マーケティング戦略を最適化できます。
これらのメリットを実現するためには、定期的なCVRの分析と改善が必要です。マーケティング担当者はCVRを重要なKPIとして捉え、積極的に最適化を進めていくことが重要です。
CVRが低下する原因
CVR(コンバージョン率)が低下する主な原因を以下に詳しく説明します。これらの原因が理解されると、適切な対策が立てやすくなります。
ターゲットとユーザーのずれ
CVRが低下する主な原因の1つは、ターゲットと実際のユーザーが合致していないことです。
ターゲットとは、特定の商品やサービスに興味を持つであろう顧客層のことを指します。ターゲットとユーザーが合致していないと、ウェブサイトやランディングページへの訪問者が購入や登録などのコンバージョンにつながりにくくなります。
ユーザーが求める商品や情報がない
CVRが低下する別の原因は、ユーザーが求めている商品や情報がウェブサイト上で見つからないことです。
ユーザーが目的の商品や情報を見つけられない場合、購入や登録などのアクションに移行する意欲が低下します。
導線設計が悪い
導線設計がユーザーにとってわかりにくい、複雑である、または適切に誘導されていない場合、CVRが低下することがあります。
ユーザーが目的のページやアクションにたどり着くまでの導線がスムーズでないと、ユーザーの離脱率が高くなります。
市場の変化などの外部要因
CVRが低下する原因には、市場の変化や競合他社の動向などの外部要因も影響を与えることがあります。
例えば、競合他社の新しいサービスや商品の登場、消費者の嗜好やトレンドの変化などが挙げられます。これらの変化に対応せずにマーケティング施策を維持すると、CVRが低下する可能性があります。
これらの原因を踏まえて、マーケティング担当者は定期的にウェブサイトやランディングページの分析を行い、ユーザーのニーズや市場の動向を把握し、適切な対策を講じることが重要です。ターゲットの正確な設定や導線の最適化、市場のトレンドに敏感な対応が、CVRの向上につながります。
CVRを劇的に向上させる具体策10選
CVR(コンバージョン率)を劇的に向上させるための具体策を以下に示します。
これらの具体策を実施することで、ウェブサイトやランディングページのコンバージョン率を改善し、ビジネスの成果を最大化することができます。
CTAボタンの位置を最適化する
CTA(Call to Action)ボタンの位置をページ上で目立つ場所に配置しましょう。
通常はページの上部やコンテンツの中央が効果的です。ユーザーがスクロールしても見えるように固定配置することも有効です。
実際にCTAボタンの位置を少し変えるだけでコンバージョン数が上がるという事例は多数あります。
それが携帯電話事業会社ボーダフォンの海外サイトで行われたA/Bテスト事例になります。
このA/Bテストではボタンの配置を少し変えただけで、コンバージョン率が19%も高くなりました。
この変化の背景には大きく2つ理由があり、1つ目がボタンを目立たせることでユーザーがどこをクリックするべきかが明確になったことです。
2つ目は、価格などの商品情報を配置し直すことでページが読みやすくなったことが考えられます。
CTAボタンの位置を見直すことによってユーザーにとって見やすくなり、コンバージョン率をアップできるかもしれませんので、一度見直してみると良いでしょう。
ボタンの色を工夫する
CTAボタンの色は目立つ色やコントラストの強い色を選びましょう。
例えば、赤やオレンジなどの鮮やかな色は注意を引きやすくなります。ただし、ブランドのカラースキームとも調和する色を選ぶことも重要です。
必ずしもこの色が良いというものはないのですが、まずは以下2つのことを試してみることをオススメします。
①サイトのキーカラーの反対色を活用してみる
②目立つ色を使ってみる
具体例としてContentVerve社が行ったテストで、青い長方形のボタンを緑色の丸みを帯びたボタンに変えたところコンバージョン率が35%アップしたという結果になりました。
この結果から緑色が良いということではないのですが、色によってユーザーのイメージや反応が変わってきます。
緑色に関しては、信号で「進め」の意味を持つことからユーザーが安心してアクションを起こせるといった効果があったと考えられます。
実際にECサイトでは多くのボタンに緑色が使用されていたりします。ただ、サイトの配色やターゲット層の好みによって適した色も変わってくることをぜひ認識しておいてください。
CTAのテキストを最適化する
CTAボタンのテキストを具体的で魅力的なものに変更しましょう。
例えば、「今すぐ購入する」「無料お試しを始める」など、ユーザーに行動を促す言葉を使います。特に「ユーザー起点」でアクションを促すテキストにするとクリック率が高くなると言われています。
なので「製品ページはこちら」を「詳細を見る」という形に変更することで、企業側視点からユーザー視点を意識した文言となって効果が変わるため、細かい部分に注目してみるようにしましょう。
コンバージョンの選択肢を減らす
ページ上のコンバージョンの選択肢を減らし、ユーザーにとって明確でシンプルな選択肢を提供します。過剰な選択肢はユーザーの決断を妨げることがあります。
ある企業では、選択肢を1つに絞ったメールの方が効果が上がったという事例があります。
心理学の中で有名な実験でも、24種類のジャムから選ぶより6種類のジャムから選ぶ方がユーザーの購買意欲が高いといった結果もあるため、なるべくユーザーへの負担を減らす努力をすると良いでしょう。
事例ページを充実させる
成功事例やお客様の声を掲載した事例ページを作成し、製品やサービスの信頼性をアピールしましょう。顧客の成功体験は新規顧客の獲得につながります。
具体例として、ある男性向け医療クリニックのサイトで10数件の事例を追加したところ、問い合わせ数が1.5倍に増加したという結果があります。
事例ページには、結果、実証(プロセス)、サービス前の状況、サービス後の状況の4つのポイントを記載するようにしましょう。
ユニークなデザインを採用する
他社との差別化を図るため、ユニークで魅力的なデザインを導入します。しかし、デザインはユーザーの使いやすさを損なわないように工夫する必要があります。
ポイントとしては、一見すると違和感を覚えるようなデザインにすることでユーザーに一瞬でいいから目に止めてもらうことを意識してみると良いでしょう。
デザインを変えるポイントとしては、フォントであったり、色合い、イメージ画像といった部分を1つでもエッジの効いたものを取り入れてみるのが良いでしょう。
CTAボタンのテキストを工夫する
CTAボタンのテキストは具体的で効果的なものにします。例えば、「限定特典を受け取る」「お得なキャンペーンに参加する」など、ユーザーの関心を引く内容を考えましょう。
具体的な事例では、アメリカ大統領選挙の際に、オバマ陣営のサイトページのボタンを「購読する」から「もっと知る」に変えただけでクリック率が18%も向上しました。
このように細かい変更でも大きな結果に繋がる可能性があるので、自分自身がよりクリックしたくなるテキストを考えてみると良いでしょう。
ページ読み込み速度を最適化する
ページの読み込み速度が遅いとユーザーの離脱率が上昇します。画像や動画の最適化、キャッシュの活用などを行い、ページの読み込み速度を改善しましょう。
定期的なパフォーマンスモニタリングと改善作業を行いながら、コンバージョン率の向上に貢献しましょう。
データに基づくコンテンツ最適化を行う
データ分析を活用して、コンテンツの質や配信タイミングを最適化します。顧客のニーズや動向に合わせたコンテンツ戦略を展開し、CVRの向上につなげます。
例えば、特定のユーザーグループに対して関連性の高いコンテンツや特別なオファーを表示することで、ユーザーエンゲージメントを向上させます。
データに基づくコンテンツ最適化は、マーケティング戦略の重要な要素です。定期的なデータ収集と分析を通じて、効果的なコンテンツ戦略を展開し、ユーザーエクスペリエンスとコンバージョン率の向上に貢献します。
ユーザーインサイトを活用した改善
ユーザーのフィードバックや行動データを分析し、ページやコンテンツの改善点を把握します。ユーザーの声に耳を傾けて、UX(ユーザーエクスペリエンス)を向上させます。
ヒートマップや行動分析ツールを使用して、ユーザーがどのようにウェブサイトを利用しているかを視覚化します。
クリック率やスクロール深度、離脱ポイントなどのデータを分析し、ユーザーの行動パターンを把握します。これに基づいてページレイアウトやコンテンツを最適化します。
ユーザーのニーズや行動を理解し、それに基づいた戦略的なアプローチを取ることで、顧客エンゲージメントやコンバージョン率の向上につながります。
まとめ
今回はマーケティング担当者に向けて、CVRを劇的に向上させる具体策10選を事例を交えてご紹介しました。
これらの具体策を取り入れることで、CVRを劇的に向上させることが可能です。
CVRの改善は、サイトやページによって改善策が異なる場合が多く、課題に適した改善策の実施が求められます。CVRの改善には一つ一つの小さな改善が積み重なり、結果的に全体のコンバージョンに繋がります。
マーケティング施策の改善を通じて、顧客エンゲージメントやビジネス成果の向上を目指しましょう。