「Web広告を始める為に広告運用を任せる代理店を探したいが、探し方が分からない」
「代理店によって当たり外れがあるらしいので、良い代理店を見極るポイントが知りたい」
この記事に辿り連れた方はこのようなお悩みをお持ちではないでしょうか。
今回はWeb広告代理店の選ぶ際に重視したいポイントを7つご紹介します。
この記事でわかること
- 信頼できるWeb広告代理店の選び方
- 代理店側の裏事情
- 実は代理店に任せる以外の選択肢があること
そもそもWeb広告代理店とはどのような存在か?
そもそもWeb広告代理店がどのような仕事をしているかご存知でしょうか。
Web広告代理店は、広告主であるクライアントから広告予算を預かって、広告媒体(GoogleやYahoo!など)の間に入って広告の入稿や運用を行います。
さらにはクライアントに対して配信実績のレポーティングや定例会では配信計画の確認や改善施策案などを報告します。
代理店の手数料は配信金額の20%ほどであることが一般的です。
100万円分の広告配信を行う場合、代理店に支払う金額は手数料込みの120万円になります。
20万円の差額がそのまま代理店の儲けになるかというと実は違います。
代理店は20万円の中から広告媒体者側に20%の手数料からさらに4%ほどを支払う必要がある為、実際には16%ほど今回のケースで言えば16万円ほどしか儲からない仕組みになっています。
代理店が儲ける方法としては、1件が数千万円規模の超大型案件を受注するか、1件が100万円程度の小口案件を大量に受注して回すかの2択になります。
こうした裏事情を抑えた上でここからの代理店選びのポイントを抑えていきましょう。
ポイント1:最低出稿金額
Web広告代理店によっては最低出稿金額を設定している会社も多くあります。
最低出稿金額とは、毎月どれだけの予算を代理店に任せるかという金額になります。
大手代理店の中には出稿金額が500万円以下は運用案件としてお断りするなどの方針を持っている企業があります。
自社が代理店に預ける予算によっては大手は最初から依頼できない場合もあるので注意しましょう。
また最低出稿金額を設けていない企業もありますが、そちらはそちらで薄利多売で同時並行で複数のアカウントを抱えて必要最低限の運用調整しか行わないという場合も考えられます。
代理店を相見積もりする際は、企業毎の最低出稿金額を把握して契約する代理店にとって自社の優先度がどれくらいになるのかを判断しましょう。
ポイント2:管理画面の権限付与の可否
少しマニアックな内容になりますが、代理店によっては管理画面の権限付与を拒否する場合があります。
管理画面とは、運用者が広告を運用する為の画面です。こちらは権限を付与すれば代理店以外の人間も広告がどのように運用されているかを把握することができます。
しかしこの管理画面の情報をクライアントに対しても一切開示しないというポリシーを持つ代理店もいます。
理由としては管理画面のアカウント情報はその代理店が持つ運用ノウハウなどの機密情報の塊だと捉えているからだと推察されます。
しかしクライアントの視点では成果が悪化している時に代理店側が一切、管理画面の情報を開示しないとなると不信感が募ってしまいますよね。
いざ成果が悪化した時に代理店側の説明に納得がいかず、クライアントが管理画面を見せて欲しいと要望すると代理店側から契約上見せられないという話になってしまい押し問答の末に代理店契約を解約に至るというケースもあります。
代理店と契約する場合は、事前に管理画面の閲覧権限を付与してもらえるかなどを確認しましょう。
ポイント3:営業担当と運用担当の役割分担
意外に思われるかもしれませんが、Web広告代理店は会社によって営業担当と運用担当の役割分担がバラバラです。
会社によっては営業担当と運用担当がそれぞれ独立している場合もありますが、また別の会社によって営業担当が運用担当も兼ねるというケースもあります。
後者の場合だとクライアント視点では連絡を行う窓口やコミュニケーションを行う対象が一名なので非常にわかりやすいです。
しかし前者の場合だと誰に何を言えばいいのか分からない為に混乱が生じます。特に代理店の運用について何か意見を伝えたい時に直接、運用担当と繋がれない場合は営業担当を間に挟むことになります。
この際、伝言ゲーム的にクライアント視点で伝えたい内容が運用担当まで届かない為にコミュニケーションのコストが増大する可能性があります。
代理店を選ぶ際は営業担当と運用担当がどのような座組で案件を進めるのかを確認しましょう。
ポイント4:クリエイティブチームの有無
Web広告を始める場合、最初は検索広告から始めるのがセオリーだと思われます。
しかし下記のような場合は検索広告だけではなくディスプレイや動画広告を併用する必要がでてきます。
- 最初からWeb広告に対する予算が多く、検索広告だけでは予算を使い切れない場合
- 検索広告で広告表示したい検索キーワードの検索ボリュームが少ない場合
- Web広告の目的がリード獲得ではなく認知獲得の場合
- デモグラ(特定の性別や年齢層など)に基づいて広告を配信したい場合
そうした際、クリエイティブを準備する必要がでてきます。
クリエイティブとは、広告配信時に使用するディスプレイ広告のバナー画像、動画広告の動画にあたります。
一般的に広告代理店というとクリエイティブの制作ノウハウに長けているように感じられるかもしれません。しかしWeb広告においては代理店ではなく自社でクリエイティブを用意するという会社も多いです。
自社でクリエイティブを用意する場合、クリエイティブを自社で作成の後、代理店に納品して、運用担当者が運用するとなる為、社内外でコミュニケーションコストが発生します。
そうなるとPDCAサイクルを回すのが遅くなるというデメリットが発生します。
またディスプレイ広告や動画広告は検索広告と比較して運用できるレバーが少なく、配信成果がほぼクリエイティブの良さに依存してしまいます。
ディスプレイ広告のクリエイティブでは広告の文言や配置位置、クリエイティブ内の人物属性、色彩のイメージによって成果が大きく変わります。
いわゆるクリエイティブの勝ちパターンを掴む為には、短期間で大量にPDCAサイクルを回すのが効果的です。
その為、自社に宣材素材を作成するクリエイティブチームが存在したとしても、Web広告については必要最低限の宣材素材だけ共有してその組み合わせパターンなどは代理店に任せるなど臨機応変に対応することが望ましいでしょう。
残念ながら世の中にはクリエイティブを自社で作成したいというクライアントのこだわりに甘えて、クライアントから納品されたクリエイティブをただ広告配信して手数料だけを稼いでいる代理店も多いです。
そもそもクリエイティブチームが無い代理店やクライアントに対してクリエイティブの改善提案を行うノウハウがないという場合もあります。
その場合、そうした代理店と契約してしまうとディスプレイ広告や動画広告では成果を伸ばせないというボトルネックを抱えることになってしまいます。
代理店を選ぶ場合は、Web広告の予算や広告費の拡大を念頭において成果獲得や成果改善の実績があるクリエイティブチームがあるかをチェックしましょう。
ポイント5:SLA(サービスレベルアグリーメント)
あまり馴染みがないかもしれませんが、きちんとした代理店には『SLA(サービスレベルアグリーメント)』が存在します。
代理店の相見積もりをする際に「そちらの代理店のSLA資料を共有してください」と伝えてみてください。代理店担当者が「SLAとは何ですか?」と回答してくる場合、その代理店と契約するのは危険かもしれません。
SLAとは『サービス品質保証』を意味します。具体的には代理店とクライアント間でのサービス内容を保証するための契約です。
Web広告代理店の場合は、下記のような項目をSLAを設けている場合が多いです。
- 広告の停止:1営業日以内
- キーワードの変更:2営業日以内
- 広告文の変更:3営業日以内
クライアントの要望に対して、何営業日以内にどのような対応をするかという約束をまとめたものになっています。さらに代理店によっては上記の項目に対して『月何回まで』の回数制限を設けている場合もあります。
こうしたSLAが存在していない、もしくは代理店の各メンバーがその存在を認識していない代理店と契約してしまうと、クライアントとの対応が個々人のメンバーに意識や優先度に大きく依存してしまいます。
幸運にも自社の担当者がSLAを上回る優先度で自社の要望に対応してくれる場合は良いでしょう。しかし担当者が抱える案件の中で優先度が低かった場合は自社の要望が後回しにされてしまい、対応を催促するなどのコミュニケーションコストが発生します。
そうした理由からも代理店と契約する場合はSLAの有無と、代理店内でSLAが周知されているかを確認した方が良いです。
ポイント6:取り扱い媒体
代理店によって取り扱いできる媒体が異なる場合があります。
主な媒体として下記のものがあります。
- LINEヤフー(旧Yahoo!・旧LINE)
- Microsoft
- Meta(旧Facebook)
- X(旧Twitter)
- SmartNews
- TikTok
Web広告の世界は流行り廃りが激しく、ユーザー行動の変化に応じて新しい配信面や広告メニューが発表されています。
そうした広告媒体社側のアップデートに代理店がキャッチアップできているのかも代理店を選ぶ上では重要なポイントになります。
特に新しい配信面や広告メニューは広告枠を争う競合が少ないことからより低いコストでリード獲得などの成果獲得を狙える可能性があります。
代理店にWeb広告運用を任せるからには既存のプロモーションの成果改善とセットで、新しい広告メニューの提案など成果拡大を図れる施策を期待したいところですよね。
ポイント7:セールスパートナーランク
各媒体社は各代理店に対して、年間の配信金額などから各代理店にセールスパートナーランクを設けています。
下記はLINEヤフー社のセールスパートナーランクの例です。
セールスパートナーレベル=代理店の優秀さ、とは言い切れません。
しかし扱う年間の配信金額の多さからかなりのノウハウが蓄積していることは確かでしょう。
またセールスパートナーの認定を得る為には、媒体社が推奨している広告配信のセオリーに沿っていることも求められます。その為、ランキングの下位でも媒体社のお墨付きを得られていることを意味しています。
であるので下手に「Web広告代理店 おすすめ」などで検索して上位表示されている代理店のページを探すよりもこちらのページに記載されている代理店に相見積もりをかけた方がより信頼性が高いでしょう。
まとめ
Web広告代理店と契約する前に知りたいポイントを7つ紹介しましたが、いかがでしたか。
代理店選び1つでWeb集客の成果は大きく変わります。
残念ながら代理店と契約した後もその成果に満足できずに代理店を何度も入れ替える企業は多いです。しかし代理店を切り替える際も解約に関わる契約内容の確認や、サーバーや広告アカウントの移管など多くの工数が発生します。
Web広告は代理店選びが重要ですが、必ずしも代理店に頼るだけが選択肢ではないということはご存知でしたでしょうか。昨今はWeb広告を代理店ではなく自社で内製化する企業も増えています。
今回はWeb広告代理店の選び方についてご紹介しましたが、本当に代理店契約を結ぶべきかゼロベースで考えてみても良いかもしれませんね。