【自社でも真似したい】中小企業のSNSバズマーケティング成功事例5選

「自社でもSNSや動画投稿サイトを使って集客や採用を強化したい……しかし何をすれば良いか分からない」
「どうせ企業アカウントでバズっているのって華やかな大手企業だけでしょ……中小の自社には無理」

この記事に辿り連れた方はこのようなお悩みをお持ちではないでしょうか。

今回は中小企業でSNSや動画投稿サイトを使って自社ブランディングに成功している事例を7つ紹介します。

紹介事例にはX(旧Twitter)・Instagram・YouTube・TikTokなどを含みます。

この記事でわかること

  • 中小企業でできる企業アカウントによるSNS・投稿サイトのバズマーケティング
  • 各プラットフォームでの事例
  • 事例から導かれる真似すべきポイント
目次

1.X(旧Twitter)の事例 末広庵(光を通さない羊羹)

1つ目の事例は『末広庵』のポストです。

こちらのポストは2023年7月に投稿されたポストで117.1万回表示され、1.1万回リポストされています。

リポスト率でいうと0.9%で非常に高いです。およそ100人に1人の割合でリポストされていることから非常に万人受けする優等生のようなポストであることが分かります。

バズったポイントとしては3点あると考えられます。

1点目のポイントは、『光を通さない羊羹』という分かりやすいキャッチフレーズです。

このポストが表示されたユーザーは「一体どれくらい光を通さないのだろうか?」という感想を持ちます。試作途中の羊羹の画像も添付されていることから、百聞は一見にしかずという具合にポストの画像を見てしまうこと間違いなしですね。

2点目のポイントは、ユーザーの期待を上回ることです。

上記のフレーズに惹かれて羊羹を見たユーザーですが、その羊羹がユーザーの期待よりも漆黒で期待を上回っる感想を持ったことから他のユーザーにも共有したいという気持ちを喚起したと考えられます。

ユーザーに興味関心を抱かせる為に印象的なキャッチフレーズを考えることは有効ですが、文字から画像や動画などのコンテンツに移行した際に最初に抱かせた期待をどれだけ超えられるかが重要です。

3点目のポイントは、ハッシュタグの使い方です。

『#マイクラ末広庵』というハッシュタグに含まれる『マイクラ』とは何かご存知でしょうか。

マイクラとは『Minecraft』というゲームの略称です。このゲームは2009年にスウェーデンのMojang Studiosという小さなゲーム会社で開発をスタートされました。2014年にはMicrosoftから約2680億円で会社を買収され、その後(2024年現在)もなおアップデートをリリースしている世界的超人気ゲームです。その熱狂ぶりは凄まじく2023年には3億本以上売れ、世界で最も売れたゲームタイトルというギネス記録も持っています。

その特徴はゲーム世界内に存在するすべての物質がブロックでできているという点が挙げられます。このブロックはすべて自分で壊したり、再構築できるなど非常に自由度が高いです。プレイヤーの創意工夫次第で様々なことができ、ユーザーの創造性を引き出すことから昨今はプログラミング学習教材としても活用されています。

このポストではマイクラ内に登場する『黒曜石』というアイテムと自社の試作中の羊羹の形が似ている点をアピールしています。特に黒曜石は作中でも最も硬いブロックで、黒曜石を壊すのは至難の業です。そうしたゲーム内でもプレイヤーの記憶に色濃く残っているアイテムと自社製品を結びつけたことで、マインクラフトのファンのハートを掴んだと考えられます。

真似できるポイントとしては、大人気ゲーム作品でたとえてみるでしょうか。特に自社のターゲットとなるユーザー層が幼少期であったり現在も遊んでいたりするゲーム作品を使った比喩ができれば完璧でしょう。

誰も一度は遊んだことがある人気作品と自社製品とで何か類似点を見つけることはできないでしょうか。

企業アカウントを運用している担当者は、下記の表を使って自社がターゲットするユーザー層が愛着を持っている大人気ゲーム作品との類似点を探してみてください。

世代別ゲームタイトル

世代 男性 女性
10代 (2000年代後半〜) ポケットモンスターシリーズ、スプラトゥーンシリーズ、マインクラフト 同上
20代 (1990年代後半〜2000年代初頭) ドラゴンクエストVIII、ファイナルファンタジーX どうぶつの森シリーズ、ハーヴェストムーンシリーズ
30代 (1980年代後半〜1990年代初頭) スーパーマリオ64、ゼルダの伝説 時のオカリナ セーラームーン関連ゲーム、ポケットモンスター 赤・緑
40代 (1970年代後半〜1980年代初頭) ストリートファイターII、ドラゴンクエスト(初期のタイトル) ファミコン ディスクシステムのゲーム、マリオシリーズ(初期のタイトル)
50代 (1960年代後半〜1970年代初頭) スペースインベーダー、パックマン 同上

最後にこの事例について1点だけこの事例について注意点があります。

それは試作品の商品を企業アカウントの運営者の一存でSNSにアップロードしてしまうと、SNS経由で企業の機密情報が流出してしまう恐れがあるということです。最悪の場合、企業アカウント担当者が懲戒免職になるリスクもあります。

他社事例を参考にする際ですが、必ず自社と他社を切り分けて考えましょう。製品やプロダクトの情報をSNSにアップデートする際は上長や関係部署に根回しを行うことを心がけてください。そうすることができれば会社の他の人間も巻き込むことができ、結果的に自社の魅力を伝える上で最大限のシナジーを発揮できることでしょう。

2.X(旧Twitter)の事例 整体ケアルラ(店長不在のホワイトボード)

2つ目の事例は『整体ケアルラ』の事例です。

整体ケアルラは東新宿にある個人経営の整体店なのですが、店長やスタッフがたびたび自分のオタ活を優先して不定期で定休日になることで有名です。

下記は整体ケアルラの店舗情報です。定休日の欄にしっかりとその旨が明記されています。

店長やスタッフが店舗に不在になる際はX(旧Twitter)で定休日になる理由について包み隠さず、自分のオタ活について正直に共有してくれるのがユニークですよね。

実はこの前、たまたまお店の前を通りかかったのですが偶然にも店長不在のホワイトボードに遭遇しました。『伊弉冉一二三(いざなみひふみ)』とは『ヒプノシスマイク』というドラマCDやアニメ、ゲームなどでメディアミックス展開している作品の登場人物です。

普段は新宿を拠点にホスト活動をしているキャラクターなのですが、札幌で作品のライブ・イベントがあったことから札幌へ向かったと記載しているのでしょう。サブカルチャーに精通していない近隣住民からすると怪文書といっても過言ではないですね。

お店が開いている時よりも、お店が閉まっている時の方が話題になるという意味で面白いお店です。

この事例から学べることは1つです。企業アカウントは遠回りが必要ということです。

おそらく整体やマッサージ店が自社の存在を認知してもらおうとすると、一生懸命に営業中の店舗の写真やスタッフが施術中の写真をアップロードして店舗の快適や施術の効果などを訴求すると思います。

しかし整体ケアルラの場合は、店内の様子や施術中の風景を映さずに店舗の認知獲得を成功させています。

実際、私のこの整体に通いたいと考え始めています。

その事例を横展開させてみるとSNSにおいてはプロモーションしたい製品やサービスを一生懸命に売り込むよりも、その周辺、たとえば製品を製造している人の日常生活や何が推しなのかについての情報発信をする方が最終的に製品やサービスの潜在的な顧客を獲得できるかもしれません。

3.Instagramの事例 株式会社Amufi(お姉さんとバーチャル内見ツアー)

3つ目の事例は、株式会社Amufiの『RoomPa(ルムパ)』です。

RoomPa(ルムパ)は、賃貸物件を探している人とお部屋選びをサポートしてくれるエージェントをマッチングしてくれる不動産ポータルサービスです。

このRoomPaの企業アカウントですが男性の方は中毒性がありますので閲覧注意です。


RoomPaの企業アカウントでは上記のような超狭小物件やユニークな間取りの物件など、非常に面白いですが自分で住むには勇気がいるような物件を紹介しています。一方でそうした面白い物件情報を紹介している不動産会社の企業アカウントは多いのですが、RoomPaの場合はそこに可愛いお姉さんとナレーションという要素を混ぜて差別化しています。

動画を見て頂ければ分かるのですが、動画内では可愛いお姉さんと一緒に内見している体験を疑似体験できる為、非常に楽しいです。男性の方は可愛い彼女と一緒に同棲できたら毎日が楽しいだろうなという欲望が掻き立てられること間違いなしですね。

この事例から学べることは『追体験』の重要性です。それもただの追体験ではなく『極上の追体験』です。

RoomPaの事例では競合の不動産系企業アカウントが動画で物件紹介をしているのに加えて、可愛いお姉さんが明るく楽しそうに物件を紹介してくれています。これが通常の内見のようにスーツを着た不動産会社の中年男性だとどうでしょうか。物件探しを追体験できるとしても、それは普通の物件探しを追体験しているだけで全く面白くないでしょう。RoomPaの場合は可愛いお姉さんが内見ツアーをしてくれることで、付き合いたてのカップルが同棲する物件を探しているような極上の甘い追体験をさせてくれます。

4G・5G回線の普及で現在は高画質の動画や音声を使ったコンテンツが手軽に楽しめるようになっています。動画や音声コンテンツの強みは、その追体験力の高さにこそあります。であればこそ、日常の退屈な体験を追体験させるのではなく極上の体験の追体験を通してこそ、企業SNSのコンテンツはブランディングの価値を発揮すると考えられます。

これはお金をかけて美男美女のモデルやタレントに仕事を外注しろという意味ではありません。もちろんお金をかけてタレント事務所に演者を派遣してもらえれば楽に横展開ができるでしょう。しかし中小企業が競合と差別化するにはお金よりも知恵を絞る必要があります。

不動産の内見でいえば、可愛いお姉さんと一緒に内見できる追体験型のコンテンツを派生させて、ペット可の物件でペットの犬と一緒に内見するのですが、犬の気持ちをナレーションで人間がアフレコするなどのコンテンツがあっても面白そうですよね。

可愛いワンちゃんを床に寝かせて「ご主人さま、僕ここに住みたいワン」などとアフレコさせれば犬好きの人は、愛犬との極上の新居での生活を追体験させられないでしょうか。

不動産1つを取っても、ラブラブの彼女と同性する・ペットと一緒に快適に住むなど様々な極上の追体験は様々な方向性が考えられると思います。この記事が是非、自社の製品やサービスを使うユーザーにとって極上の体験とは何なのか、そしてそれはどうすれば追体験させられるのかを考えるきっかけになれば幸いです。

4.TikTokの事例 アトム法律事務所(一問一答Shorts)

4つ目の事例は『アトム法律事務所』です。

TikTokやYouTube Shortsをよく見る方は「質問来てた!」の冒頭フレーズを耳にしたことはあるのではないでしょうか。

下記の動画は「Q:裁判中に裁判官がうんちをしたくなったらどうなりますか?」という一見くだらなさそうな質問に対して現役の弁護士が真面目に法律の知識を使って回答するというものになります。

@takeshibengo Q:裁判中に裁判官がうんちをしたくなったらどうなりますか?#tiktok教室 #裁判官 #裁判 #うんち #法律 #弁護士 ♬ オリジナル楽曲 – 岡野タケシ弁護士【アトム法律事務所】

弁護士がくだらない質問に真剣に法律的にどうなるかを回答するかが面白いからバズっていると思われるかもしれません。しかしアトム法律事務所の企業アカウントがバズった理由は、この動画フォーマットにこそ秘訣があります。

1分間という短い時間で冒頭で疑問や謎を提示して、それを解決する。このフォーマットがShorts動画の最適解といえるでしょう。

アトム法律事務所が流行らせたこのフォーマットは非常に真似しやすい為に企業アカウント以外でもインフルエンサーのTikTokerやYouTuberの間でパロディを作るのが一時期流行になりました。

あなたの会社が属する業界や業種、職種に対しては外部の人からどのような面白い質問が寄せられるでしょうか。面白い質問とそれに対する回答のネタができれば企業アカウントとして投稿してみるとバズるきっかけになるかもしれません。

最後に実際に質問が来ていないのに「質問来てた!」という動画を作るのはヤラセにならないかという心配がありますが、そこはフィクションであることを動画内で明記すれば良いでしょう。また最初はヤラセでも質問フォームを公開して、動画の視聴者やSNSフォロワーから実際に質問を募集してみれば企業アカウントに対する興味関心を高められるかもしれませんよ。

こうしたパロディですが『ネットミーム』と呼ばれます。

ミームとはノーベル賞生物学者のリチャード・ドーキンスが名付けた概念です。語源は「模倣する」という意味のギリシア語『mimeme』と「記憶する」を意味する『memory』をかけわせた造語です。その定義は、あるコミュニティの中で人から人に遺伝子情報のように引き継がれていく文化や慣習、考え方などの情報を指します。昨今はインターネットで特定の画像や動画が爆発的に拡散され、そのパロディが作成されることから『ネットミーム』とも呼ばれるようになりました。

自分の情報をネット上で拡散する上でネットミームを引用することは非常に強力です。

一方で流行り廃りが激しいという欠点もあります。またネットミームが流行る発端となった背景事情を深く理解しないままに使ってしまうと、最悪の場合、ネットで炎上してしまう欠点も抱えています。企業アカウント担当者であればネットミームの長所と短所を理解して、最新情報にキャッチアップしたいですね。

一番最新(2024年2月)のネットミームで言うと猫が幼児向け番組の音楽に合わせて踊る動画が爆発的に伸びています。色々な投稿者がこのネットミームを使った動画を作っているので自社もこのブームに乗ることで注目を集められるかもしれません。

5.YouTubeの事例 一般社団法人桃太郎オフィス(ヤバすぎるShorts)

5つ目の事例は『一般社団法人桃太郎オフィス』です。

この方はYouTuber、TikTokerで桃太郎さんです。元々は大学教授のモノマネ動画をアップロードされていたのですが、最近は自身が持っている『不動産鑑定士』という資格を使って不動産売買仲介のリード獲得する為のShorts動画をアップロードされています。

不動産媒体に興味がなくても桃太郎さんの一人芝居とテンポの良い動画の構成は何本見ていても飽きない中毒性があります。

桃太郎さんのShorts動画を何本か見ていると実は一定のテンプレートに沿った構成がされているのに気づきます。アトム法律事務所と同じです。

桃太郎さんの場合は「◯◯がヤバすぎる」というキャッチーなフレーズでShorts動画が始まります。そして起承転結を無視して唐突に理不尽な出来事がおきて「なんでぇ!?」という素っ頓狂な叫びでオチがつくという構成になっています。

今後はこのフォーマットをパクるYouTuberやTikTokerが増えると思うので是非、自社の企業アカウントでも真似してみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回はSNSや投稿サイトにおいて企業アカウントで真似できる事例を5つご紹介しました。

事例内で紹介したテクニックは下記の内容になります。

  • 印象的なキャッチフレーズを考える(『光を通さない羊羹』など)
  • キャッチフレーズからユーザーの期待を超えるコンテンツ(画像、動画)を用意する
  • ターゲットユーザーが愛着のあるゲーム作品を引用する
  • 自社の製品やサービスではなく、その周辺情報から発信してファンになってもらう
  • 動画コンテンツを使ってサービスや製品を『極上の追体験』を提供する
  • 『ネットミーム』を引用して注目度を高める
  • 面白いフォーマットをパクる

企業が持つブランドイメージによってはそのまま真似しづらい内容もあるかもしれませんし、上司から投稿内容について反感を持たれるかもしれません。

しかしSNSや投稿サイトに無策なまま無難な投稿を続けていると逆に自社のブランディング力や求心力が低下する恐れがあります。ユーザーからいいねやリポストなどのエンゲージメントが得られない企業アカウントなら最初から存在しない方が良いという考えもあります。

『悪名は無名に勝る』ということわざがありますが、SNSや投稿サイトはその風潮が一層強いと考えられます。もちろん進んで悪名を轟かせる必要はありません。しかし企業アカウントをやる以上は最大限のリスク管理は行いつつ、ユーザーを驚かせたり夢中にさせたりしてその心を掴む投稿をする必要があります。この記事をご覧になった企業アカウントの担当者の方が、1人でも多くのユーザーを夢中にする投稿ができるようになることを願っております。

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この記事を書いた人

ゲームプランナー、コンビニ店長を経て
現在はWeb広告の運用者やメディア運営に携わる。
趣味はサウナ巡り(1年間で40箇所以上のサウナを訪れる)
サウナ案件をお待ちしております。

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